色づく大路小路

人ごみに駆られず東西南北

紅葉前線は北から南へ、海抜の高い所から低い所へと下りてくる。
しかし、市内となると、色づき具合の情報に耳を大にしなければならない。
日々のもみじ狩り日程を立てるには、東西南北の調整をしながら、コースの練り上げが必要である。

また、ポスターで貼り出されている紅葉狩り名所の見頃は避けざるをえない。でなければ、紅葉狩りの風情を味合うことは至難の技である。有名どころでは曜日を考え、せいぜい見頃前の早朝に訪れるしかない。

名所へ休日に訪れようものなら、渋滞を抜けるのに貴重な時間を費やし、目的地へ辿り着けば駐車場待ちにうんざりし、散策路では人の背中を眺め、枝葉を仰ぐどころか埃にまみれ、もみじのトンネルでは顔、顔、顔の始末となる。

そして、疲れを癒すべく小休止と思えば、行列のできる店の前に立つことになる。

これでは四条河原町さながらである。紅葉狩りというより人間狩りと呼びたくなってしまう。
名所での秀逸な彩の光景は写真集で楽しむ方が無難である。

先週は既に、嵐山上流から鳥居本にまで観光客が溢れていたようであるが、叡山電車で八瀬比叡山口駅から、比叡山へ登るケーブルカーの車窓から眺める紅葉となると、足が遠のくか、まだまだ長閑さがある。
パノラマ広場からは、京都の街並みと染まる山並みの一望を独り占めにできる。
遠くに見える銀杏並木の黄に、山間で一段と光っている櫨(はぜ)の透き通るような赤が印象的だった。
更に延暦寺根本中堂までシャトルバスで足を伸ばせば、色づいた木々の風情に、紅葉の葉の息づきまでもが感じ取れるのだ。

先日、秋の京都御所一般公開が閉幕したので、今週からは、大文字山を眺め、京都御苑の森をじっくりと歩くのも良いと思っている。

既に、岡崎の疎水縁がいい色づきをしていた。社寺を避け、周辺の道すがらなら人の背中は見なくて済む。京都市美術館辺りのサクラやケヤキの木々は色とりどりに染まり、足元は赤に黄に金茶にと地面を奪い合っている様相だ。まるで、木々の下一面が夕焼けに染まる雲上のようで、疎水の水面に映し出される逆さに色づいた木々の情景にも、思わず声を上げてしまった。誠に綺麗である。

小腹が空いたので、小休止を兼ねてウェスティンホテルのレストラン窓越しに黒谷さんを眺めたが、吉田山の色づきが乙なものだった。
確か、頂上の公園には、旧三高の逍遥の歌「紅萌ゆる丘の花」の石碑があった。
市内を見下ろす桜、紅葉の隠れたスポットである。

となると、市内北部は更に色づいているはずである。早速に賀茂街道の土手に行かねばなるまい。
ゆったりと流れくる賀茂川の先には山々の峰が重なり染まり、堤防の木々は見事に色づいているはずだ。
賀茂川沿いの出雲路からの賀茂街道の並木は大木で、葉はこんもりと繁っている。
遠近に迫ってくる賀茂の流れと錦繍の様子が思い浮かんでくる。
北大路橋辺りから北山大橋を経て御薗橋まで、弁当を下げて歩くことにしたい。

途中、植物園に立ち寄るとベストである。
弁当を開けるのは、植物園の池の畔にあるもみじの木の下が良いだろう。
微妙な諧調に変化しているであろうもみじの葉を目の当たりにできるはずである。

拝観料を払うばかりが紅葉狩りではない。
紅葉狩りの風情とは、山を見る、森を見る、林を見る、枝を見る、そして葉を見る順が良い。
錦繍を楽しむ小生の流儀である。これで満喫できること請け合いなのだ。

比叡山延暦寺
http://www.hieizan.or.jp/

京都御苑 紅葉スポット
http://www.env.go.jp/garden/kyotogyoen/topics/img/081111_1.pdf

京都市美術館
http://www.city.kyoto.jp/bunshi/kmma/

浄土宗大本山 くろ谷 金戒光明寺
http://www.kurodani.jp/

京都府立植物園
http://www.pref.kyoto.jp/plant/index.html