洛中黄葉街道

なぜイチョウが

錦繍の秋。ちょいと遅めのお出ましかと思いきや、朝夕の冷え込みに目を覚ましたようだ。
桜前線は南から北へ、紅葉前線は北から南へというが、京都には一体いつ来るのやらと思っていたところ、やっと「見頃」の文字が紅葉情報に躍りだした。

その紅葉のモミジを楽しむ前に、黄葉のイチョウはいかがだろうか。
観光ガイド本にはイチョウの登場する場面がないに等しいのに、モミジ狩に出掛けて、黄葉のイチョウに感嘆している人は結構多い。

京都には種々の街路樹があり色づいているが、イチョウが最も多く植栽されている街路樹であることをご存知だったろうか。そして、樹齢数百年に及ぶイチョウがあちこちにあるということを。
進化論のダーウィン(1809~1892)に、「生きる化石」と呼ばせたと言われる、イチョウの木の生命力は、桁違いに強いと聞く。また、その保水量は逞しいらしい。
文化財や建造物を火災から守る気持ちが、古くから無意識に京都人にはあったのだろうか。

そのように気負わず、何気ない黄葉を案内してみよう。
京都駅から烏丸通を北上していくと、まず東本願寺前の道路を分断したかのようなオオイチョウに出会う。知らない人はいないだろう。印象に強く残る大木である。
そして、七条通から入った本願寺の南側に長い白土塀が゛続く。その瓦の上に、濃淡のはっきりした黄葉の彩りが見事に舞っている。ここは見逃せない穴場である。

次に、北上を続け御所に立ち寄る。京都迎賓館の北にある凝華洞跡(ぎょうかどうあと)のところに、高さ24.0m幹周 5.28mのイチョウの巨木がある。御所にはこのクラスのオオイチョウが「母と子の森」のところにも聳えている。

御所の北同志社大学の校内にも、負けず劣らずのオオイチョウが、天に向かって数え切れぬほどの枝を張り出している。

更に北上して、紫明通に向かうと、加茂街道から掘川通までの東西はイチョウ並木が続く景色となり、12 月には、黄金の絨毯が敷き詰められたような落葉も楽しめる。

紫明通を西に掘川通に出ると、その北は寺之内通を過ぎた東奥に、黄葉を茂らせた巨木が。
まるで裏千家さんのランドマークのようだ。裏千家今日庵の創生から生きてきた樹齢四百年の巨木である。これが彼「宗旦銀杏(そうたんいちょう)」である。
茶を嗜む方はご存知だろう。毎年11月19日の三代家元(1578〜1658)宗旦忌には、ギンナンをあしらった「銀杏餅」が茶席の主菓子となっている。

振出しの京都駅方面に向かうべく、堀川通を一直線に南下し七条通にさしかかると、樹齢500年の「逆さ銀杏(天然記念物)」が待っている。
別名「西本願寺の水吹きイチョウ」と呼ばれ、天明8年(1788)京都大火の折、西本願寺の御影堂へ水を噴きかけて、危うく類焼をくい止めた、との言い伝えがあるオオイチヨウである。
先ほどまで、天空に聳えるオオイチョウの大木ばかりを見てきたが、西本願寺のイチヨウは高さ7mの小柄ながら、枝回り30mの四方に伸びる怪物で、火をも消すと言い伝えられる保水力を持つ珍奇なものなのだ。

数え上げればまだまだあるが、駆け足で最短黄葉街道を回ってみてはいかがだろうか。

上京区史蹟百選・誇りの木
http://www.city.kyoto.lg.jp/kamigyo/page/0000012359.html
東本願寺 http://www.thekyoto.net/kyoukyou/0412/041206_01/
紫明通   http://www.thekyoto.net/kyoukyou/0512/051208_02/
同志社大学のイチョウ、そして薩摩藩邸跡 (京ぐるめ ういちゃ)
http://blog.uicha.jp/?month=200411
裏千家系図 (裏千家)
http://www.urasenke.or.jp/textm/headq/soke/koyomi/soutankih17/soutankih17.html
西本願寺
http://www.hongwanji.or.jp/