湯豆腐で晩酌

湯豆腐は一人でやる方が似合うのだろうか

今月は晩酌という熟語によく出くわした。

京都CF!誌では、中綴じに「烏丸で晩酌」という冊子が付いているし、街頭では冊子配布がされていた。おまけに一日中オフィスに流れているアルファステーションでも、「烏丸で晩酌」が連呼されている。

日暮れとともに冷え込んできた家路の足取りも、「バン-シャク、バン-シャク」と交互に踏み出してしまうではないか。その自らの仕草に思わず笑みがこぼれてきた。

晩酌とは自宅に帰ってからだと思い込んでいる小生は、「烏丸で晩酌」とは何事かと思ったが、近頃の烏丸界隈はビジネス街でありつつ、飲食店などの商業施設が増え繁華街化していて、確かに夜も賑やかである。

烏丸の喧騒を尻目にまっすぐ家路を急ぐばかりでは、芸のない話ではある。

冊子には、ほっと一息つける明るさの写真が並んでいて、手頃な予算でゆける店が勢ぞろいしている。

外で飲むときの手酌酒は苦手な方なので、明日は相方選びをすることに決めた。

「バン-シャク、バン-シャク」のリズミカルなリピートは一向に頭から離れない。
さて、この時季の晩酌は「あつあつの湯豆腐」が似合うばかりか、ゆっくりと楽しめるというものだ。夕飯のおかずというより肴(さかな)のように思っている。

冬の風物詩ともいえば鍋である。全国津々浦々いろんな鍋があるが、鍋の原点がこの「湯豆腐」である。

具の少ないその素朴さと、出汁の旨味をほんのりと味わえるところが堪らなく良い。体を温めてくれるうえに、素直に、気取ることなく心を暖めてくれる。

毎日続いても飽きないところが更に良い。

ふっくらとした出汁巻卵や浅漬物に相通ずるところである。

そんなわけで、晩酌の友は湯豆腐に限る。
小さな土鍋に昆布を一枚敷き、豆腐を一丁入れ、水を加えて、炭火でただただ煮る。

ひとつまみの塩と刻んだ大根を入れるとスが入らない。時折九条ネギを入れるぐらいで余計なものは排し、ひたすら「いい水」「いい昆布」「いい豆腐」を選び抜く。
一方、酒は升を取り出しきっちり一合にし、冷も良し、徳利にうつし燗も良し。

小生はこの一瞬が晩酌の贅だと思う。どんなストレスも吹っ飛んでしまうからだ。

取り揃えた小鉢の珍味を突っつくのもさることながら、更なる楽しみは湯豆腐をどんなつけダレで食べるかということである。醤油出汁かポン酢醤油がベースであろう。

大抵のポン酢醤油は、刺身に使うものより柔らかめの酸味であるから、鍋の煮汁と適度に混ぜながら、どんな薬味を用いるかで味の世界が広がってゆく。
もみじおろしやネギに鰹節のほかに、柚やスダチなどどんな柑橘類をお使いだろうか。ライムやグレープフルーツはお試しになられているだろうか。
酒の味との相性で調合具合が変わるので実に楽しいものだ。

先だって、「生姜」をすりおろすと格別だと聞いた、カラッと乾いた辛口に合うとのことなので近々試してみようと思う。

京都に居て門前の高級湯豆腐屋で食べる者が小生の周りには少ない。外食なら街角のおばんざい屋さんや居酒屋、旅館などが多い。京都人のほとんどは湯豆腐は家でいただくものと思っているようだ。
禅僧によって伝来した豆腐ではあるが、庶民の食卓に出されるのは江戸時代になってから。「湯やっこ」として登場した。つまり、近くの美味しい豆腐屋を知ることが、安くて、贅沢であることを知っているからだ。

皆で突っつく鍋料理というものは、封建時代が終わってから生まれたことからすると、湯豆腐は一人でやる方が似合うのだろうか。

宝酒造
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日本の酒
http://www.japansake.or.jp/

ビール酒造組合
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日本蒸留酒酒造組合
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日本ワイナリー協会
http://www.winery.or.jp/

生粋の京風湯どうふに体のしんからほっこり (こだわりの時間)
http://www.kodatoki.com/file03/index.html

京湯豆腐大辞典06 冬版 (ウォーカープラス)
http://www.walkerplus.com/kyoto/board/ichioshi/14/