傍目八目:世の中、見方違えばこう変わる。

時代を映す鏡

私は40歳代の頃、美術系の短大でファッション文化論の講師をお引き受けしていたことがあります。
デザインに関しての講義では、当時アパレル業界を目指していた学生達に;

「快と不快を意識して感じること、そして感じたコトを何かの媒体を使って表現する方法を見つけてみる。」
「美しいモノをいっぱい観ること、醜いモノをちょっとだけ観ること、その上で自分と他者との美醜判断の違いを知る。」
「ユーザーの心は世の流れを映す鏡、まずユーザーの心に、そしてその先にあるものを見つける。」

などと話していたのを記憶しています。もちろん、私自身はデザイン・センスといったモノは持ち合わせてはいません。ただ、当時付き合っていたヨーロッパの有名、無名のファッション・デザイナー達から感じ取っていたことをもとにしていたに過ぎません。

あれから20有余年、何もかもが簡便になりました。真面目な学生たちがレポート作成のために資料館や図書館に行って調べものをしていた姿は遠い昔のこと、PCを開いてネットに繋げば必要とする資料はもとより画像、写真或いは参考作品などを瞬時に入手できます。

そして、特にグラフィックデザインの場合、PCのアプリケーションソフトの発達がその簡便性に輪をかけています。フォトショップやイラストレーターはじめ各種画像処理ソフトの多様性は、すべての人にデザイナーやイラストレーター気分を味あわせてくれます。私のようにデザイン・センスがなくても、クリエイティブな能力がなくてもPCを扱う技量さえあれば、誰でもがデザイナーを名乗れる時代であるということです。(但し、残念ながら私にはPCの技量もございません・・・)

私が当時教えていた学生と同年配でもあり、デザインの剽窃問題で騒がれているS氏はそんなPCソフトが生んだ時代の申し子(?)とも言えるでしょう。PCのソフトがこれほど充実していなければ、こんな剽窃問題は起こらなかったであろうと思っています。それにしても、サントリーともあろう企業が何故あんな中途半端な対応をするの?やはり巷間でささやかれる利権問題が裏にあるの?不買運動に繋がる心配はないの?と首を傾げた人も多いことでしょう。なぜなら端的に言って、S氏のせいでサントリーが夏のキャンペーンで消費者を騙すというとんでもない問題が発生したわけですから・・・

少し脱線してしまいました。そんな時代を映す鏡のように、コンピューター学院化している美術・芸術大学の姿を見るにつけ、またS氏のようなクリエイター(?)を作り出さないためにも、「何を学生に教えるべきか?」を基本に、そのあり方を見直すべき時ではないかと考えています。

2015年8月21日 – 6:24 PM