ペットボトル茶 伊右衛門VS若武者

宇治茶ブランド その1 by 五所光一郎

ペットボトル茶のCMが目に止まった。

♪夏も近づく八十八夜・・・。そろそろ初摘みの時季だ。
立春からかぞえて八十八日目にあたる日で、今年は皐月(さつき)二日の本日である。おりしも今日は「お茶壷道中」として、建仁寺から八坂神社まで「宇治の新茶の献上行列」が行われた。


CMとは平成17年3月発売のサントリー 京都福寿園「伊右衛門(いえもん)」と4月発売のアサヒ
緑茶「若武者」である。小生には「宇治茶」対「静岡茶」の代理戦争に見えてくるから不思議だ。

「京都福寿園 伊右衛門」は宇治茶を代表するペットボトル茶の如しのイメージで売上を伸ばし、サントリーは大成功を収めている。正に京都の宇治茶ブランドを見事に武器にしている。ところが、ペットボトルには「原材料宇治茶」との表記は見当たらないばかりか「宇治」という文字さえも見当たらない。

一方「緑茶 若武者」は「伊右衛門」を追うかのごとく、時代劇風での対抗イメージ戦略に打って出たと思える。アサヒの売上結果が気になるところだが、独自性やブランディング戦術が弱いと感じる。

「緑茶 若武者」の開発は「静岡県川根の茶名人丹野浩之」の直伝にて監修され出来上がった。キャスティングされた丹野浩之氏は第57回全国茶品評会優勝の強兵で、厳選した国産若蒸し茶葉を100%使用の「二段仕込製法」により、冴えわたるキレ味と爽やかな香りを実現し、緑茶の理想といわれる「金色透明」の色合いを出しているとある。 

俄かにTVCM広告が騒がしくなってきた。

「生茶」にはじまり、「おーいお茶」「一(はじめ)」「伊右衛門」とまだまだペ
ットボトル緑茶のブームは続きそうである。しかし、「お茶」を買い求める決め
手はどこにあるのだろうか。ペットボトルに限らずとも「お茶葉」は何を基準に選んでいるのだろうか。


「宇治は茶所、茶は政所」などと、幼少の頃聞かされていた記号は「産地」を指していた。

ところが、お茶は加工品とされ、原材料産地が食品表示法に義務付けられた製品ではないという。従って記すも記さないも自由ということなのだ。
また、現在の日本のお茶は国内産ばかりではなく外国産の荒茶も勿論輸入されている。


お茶の産地といえば「東の静岡、西の宇治。」と言われる。静岡茶は全国生産量
の約50%を占め、かつ他府県より買い入れ、全国荒茶の70%を保有し、生産、加工ともトップである。

生産量二位は鹿児島茶で約20%を占めているが、知名度がなく他府県に出荷することに甘んじているとのことだ。 

調べてみると「静岡茶」の静岡での生産量は約41,000トンで、出荷流通量は80,600トン。宇治茶の京都での生産量は約3,000トンで、出荷量は12,000トンであった。

すなわち、「宇治茶」も「静岡茶」も産地を現す「茶農家」を指しているもので
はないということである。「製茶工場」や「茶商」がどこかを表しているものなのだ。

更に詳しく言うと、どの県の協同組合員の出荷であるかを示している表記なのである。
つまり、呼び名の意味は、産地からブレンドメーカーはどこかを表すものに変身していたのである。


昨年9月、日本茶業協同組合が100%産地荒茶のみの「○○茶」表示の自主規制を定めた、と報じられた。


茶農家」と「茶師」への信頼は、ユーザーの心が決めるものだ。
茶といえば、静岡茶か宇治茶かと言われる由縁は何にあるのだろうか。
生産量で静岡に次ぐ「西の鹿児島」ではなく、「西の宇治」と言わしめるお茶の魅力はどこにあるのだろうか。
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お茶と八十八夜のお話 (幸田明雪堂茶舗)
http://www.meisetudo.com/topics/

お茶壷道中 (井六園製茶)
http://raku.city.kyoto.jp/data/cssys/bulletin/ochatubo2005.html

日本茶業中央会
http://www.nihon-cha.or.jp/index.html

宇治茶ペットボトル (京都府茶共同組合)
http://www.kyocha.or.jp/ujichapb.htm

お手前緑茶 “京のかおり” (井六園)
http://www.irokuen-tea.co.jp/

本場宇治緑茶 “ほっこり” (エム・アール・アイ・コーポレーション)
http://ocha-ocha.cool.ne.jp/ocha-1000/PetGr1611.htm

お茶飲料コレクション ペットボトル緑茶一覧 (ocha ocha)
http://ocha-ocha.cool.ne.jp/PetNew.htm


【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
5157-050502-5月

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