画一な価値観、形式化された儀礼は、個々の本質を伝えない

京の目利/情報と本質 by 五所光一郎

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節分を過ぎると、街はバレンタインデー商戦で賑わう。
豆や太巻き寿司がチョコレートに変わり、チョコレートは一ヶ月後にはマシュマロになるはずなのだが、マシュマロの姿は少なく、高級ブランド品や貴金属であることが多いようで、随分と固いものに姿を変えているようだ。

世界各地で男女が愛を誓う日として、贈り物のやりとりが習慣となっている。
日本では、この日一日でチョコレートの年間販売の25%を占めていると聞く。
「義理チョコ」「友チョコ」の習慣化も大きく商戦を下支えしている。
日本で生まれた「ホワイトデー」のシナリオはお隣韓国へも飛び火したようで、更に一ヵ月後の4月14日は「ブラックデー」と呼ばれ、贈り物のなかった若者達は「チャジャン麺」を自前で食べるらしい。
チャジャン麺とは、中国のジャージャー麺(炸醤麺)の韓国版の名称で、黒味噌を使ったラーメンのようなものだ。

聖ウァレンティヌスがローマ皇帝により、ルペルカリア祭に捧げる生贄として処刑され日から始まるバレンタインデーも、セールスプロモーションの生贄とされ、消費経済に踊らされる民は、その何たるかの根っこを忘れ、楽しければよい贈り物ごっこに興じている。
興じられている間はまだ良い。周りがするからしないわけにはいかない状況で、意思に反して行っているのは滑稽以外の何ものでもない。

京都に古くから続く民間信仰や習俗、新しく外国文化を取り入れた祭事、行事を否定するつもりは全くない。むしろ、良き習わしには積極的肯定派である。

心の伴わない、精神を知らない、ルーツを探求できない形だけのものは、つまらないと思っていて、それを伝えずして、行われるものに疑問を抱くのである。
ましてや、それが商戦のみの道具で終わり、経済的効果をもたらすことに最終目標があるものは尚更である。
また、ただただ躍らされている消費者がいるなら、その幼稚さ、軽薄さにも問題はある。
40年前に評論家大宅壮一は「TVは一億総白痴化装置」と唱えた。
マスコミの功罪の一旦を指摘しているわけだが、現在のマスコミ政治とも呼べる現象を垣間見るにつけ、その一情報、一視点をどう判断するかの国民の判断力が問われているのではないか。

現代日本は格差社会とは呼ばれていても、まだまだ豊かな平和ボケから抜け切れず、総中流階級の怠惰は続いていると小生は考えている。
過日の中国毒ギョーザ事件の解明などは出来るはずもなく、うやむやになることは容易に想像できる。
政治思想と市場経済のねじれ現象のある国で、反日教育を受けた世代が社会の中心にある状況のなかで、その安価な労働力だけにその経済的利益を求めて群がると、落とし穴に陥ることは明白である。
その視点もなく、安易な検査検疫体制で税関を通過できる国家体制もどうかしている。

そんな両国家の状況にも関わらず妄信し、更に日本の上場大企業の関わる商品、販売だからと信じ、安価だから手を出すなどということは出来ない時勢なのである。

小生は顔の見える地で、顔の見える人からのものでないと信用できない。また、顔の見える人との温度感のわかる習俗にしか好奇心や興味は向かない。

ここでもまた、京都にいて良かったと思っている。


バレンタインデーの由来、ルベルカリア祭 (フランス政府観光局)
http://jp.franceguide.com/edito.html?EditoId=178436&NodeId=1&xtor=RSS-1

大宅壮一 (財団法人大宅壮一文庫)
http://www.oya-bunko.or.jp/siryo0.htm


古森義久氏 「中国の’反日’教育」
http://pranj.org/Workshop/2001/workshop0711a.htm

地元スーパーと連携 地産地消を進める
http://www.jakyoto.com/modules/channel2/index.php?id=21

森田農園
http://www15.plala.or.jp/puremorita/

【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
5119-080205-2/14

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