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平成21年7月、京都国際マンガミミュージアム特別展「妖怪天国ニッポン」では、江戸時代の妖怪画から現代の妖怪マンガにいたるまでの、想像力溢れる貴重な妖怪画の数々が日本中から集められた。
ミュージアム内に設けられた妖怪レストランでは、「焼きそ婆」「笑虫」「奈魔ビール」と書かれたメニューに思わず笑った。
そして、祇園祭宵山。長刀鉾にあがったとき、欄縁に彫られた三十六禽を見た。
三十六禽とは、十二獣から派生した精霊で、人間を混乱させる魔物とされ、時間帯によって出現する獣が決まっている。
一昼夜一二時のそれぞれに動物を配し、更にそのそれぞれに二種ずつ付き従う動物が配されている。五行では占いに用いられ、仏教では修行者を悩ませるものといわれている。
前面の欄縁には「竜、猫、兎、狐、豹に虎」、欄縁の右側には「牛、水牛、蝙蝠、豚、猪」、 左側には「羊、麒麟に、ミミズやなめくじ」までもが、後側は「鶏、狼など」がいる。
そして、胴掛は朱の地に金糸で刺繍された麒麟に、方位四神と獅子。
見送には「雲龍」、見送裾房金物は「アブ、トンボ、セミ、カマキリ、バッタなど」と虫尽くしである。
鉾屋根の長刀に生き稚児と曳き方の法被が長刀鉾の特徴と見ている人は多いが、動植物満載の鉾であることに気づいている人は少ない。
疫病邪悪を祓うとされる山鉾には、人の心に棲む闇の創造物も乗せ飾られていたのである。
年が明けて、今年6月に国際日本文化研究センター(略/日文研)が、絵巻物などに描かれた妖怪や化け物を収録した「怪異・妖怪画像データベース」をインターネット上で公開した。
8年前に公開された文字情報「怪異・妖怪伝承データベース」は、小生も利用させて貰っていた。このデータベースの姉妹版となる画像データベースは、浮世絵師の葛飾北斎(かつしかほくさい/1760〜1849年)や河鍋暁斎(かわなべきょうさい/1831〜1889年)、月岡芳年(つきおかよしとし/(1839〜1892年)の作品など、江戸から明治時代の絵巻物や文献計100点に描かれた妖怪を一つ一つ抽出し、三年がかりで画像データベースを完成させたのである。
これで妖怪の主題や原典などの解説の付いた、1826件もの妖怪の姿を見ることができるようになった。今後もその絵図の件数を増やしていくという。
民俗学の小松和彦教授は、
「日本の多様な妖怪文化は世界に誇れる。日本文化に関心を持つ海外の研究者、一般の人々にも見てもらい、豊かな妖怪文化を感じてもらえれば。そこから各地のキャラクターや商品、アニメのモデルなど新しいものに活用してもらいたい」と話している。
これまでに、日文研は、「日本妖怪学大全」(小学館)や、リレー式コラム集「怪異・妖怪百物語 −異界の杜への誘い−」(明治書院)を発表し、各方面の注目を集めていた。
怖いもの見たさの好奇心で早速に検索してみた。
妖怪の呼称のほか、「角」「一つ目」など容姿やしぐさ、持ち物、色、その特徴でも検索ができる。
例えば、「一つ目」と入力すれば、「山男」や「ちょうちん」「見越し入道」などの一つ目の妖怪の図がドーンと並び、登場。そのひとつの画像を選ぶと、画像・主題・内容記述・出典の情報源などが表示される。
主題/「山男;ヤマオトコ,一つ目;ヒトツメ」、内容記述/「山中に一つ目の山男が立っている。髪は長く顔は白ひげで覆われ、手足には鋭い爪が生え体毛が濃い。上半身は裸で木の葉の腰蓑、木の枝を持っている」、
情報源/「怪物画本;カイブツエホン」などと。
さて、千年の都・京都には、怪異や妖怪たちの伝説がたくさん残っている。
まずは、京都に関わる怪異妖怪の話にまつわる画像を探すことにした。
伝承データベースで妖怪や怪異のキーワードを拾い上げ、画像データベースに打ち込む要領が良さそうである。
日本初の妖怪画像データベースを今夏は離さないものにして、涼夏を迎えるようにしたい。
京都が発信する怪異や妖怪の話はデータベースだけではない。
妖怪をテーマとしたまちづくりを標榜している「京妖会」という団体がある。正式名は「京都妖怪まちづくり実行委員会」である。
大将軍商店街(妖怪ストリート)、大映通り商店街(キネマストリート)、東映太秦映画村、京福電鉄、立命館大学、角川書店が中心となり、夏の妖怪事業を展開している。
お馴染みになっている「映画村の妖怪まつり」や「嵐電の妖怪電車・怪談電車」、「商店街の仮装行列百鬼夜行」なども、その一環にある。親戚の子供を連れて出かけるが、鬼太郎の衣装を着せて貰った幼子はもう大喜びである。
そして、お化け大学校なるものが昨年8月に開校された。総長水木しげる、教授京極夏彦、荒俣宏という布陣の妖怪学校である。京都キャンパスのほかに、同年10月にはサンフランシスコキャンパスも開校されている。略称は「化け大」である。
化け大倶楽部というSNSも始まり、遊び心満点の事業プロジェクトが賑わしく聞こえてくる。
更には、ユニクリエイトの「妖怪絵ハガキ」といい、妖怪堂カフェの「怪談話に魔界ウォーク」といい、B.B.Aの京都妖怪スポットめぐり「モノノケバス」や「怪談夜バス」の運行といい、京都の街は妖怪で熱くもなり、涼しくもなってきている。
河童や天狗、鬼、あるいは不思議な能力をもった狐や狸、蛇、猫といった動物たちを、昔の人は「もののけ」とか「化け物」、「変化・魔性の物」などと呼んで恐れていた。それから、妖怪が幼子の友達として存在するようになり、今やその妖怪達も世界を駆け巡っている。
妖怪天国ニッポン (京都国際マンガミミュージアム)
http://www.kyotomm.jp/HP/2009/06/yokai.html
怪異・妖怪画像データベース (国際日本文化研究センター)
http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiGazouMenu/
怪異・妖怪伝承データベース (国際日本文化研究センター)
http://www.nichibun.ac.jp/youkaidb/
お化け大学校
http://www.obakedai-kyoto.jp/
妖怪ストリート (大将軍商店街)
http://www.kyotohyakki.com/
【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
ミュージアム内に設けられた妖怪レストランでは、「焼きそ婆」「笑虫」「奈魔ビール」と書かれたメニューに思わず笑った。
そして、祇園祭宵山。長刀鉾にあがったとき、欄縁に彫られた三十六禽を見た。
三十六禽とは、十二獣から派生した精霊で、人間を混乱させる魔物とされ、時間帯によって出現する獣が決まっている。
一昼夜一二時のそれぞれに動物を配し、更にそのそれぞれに二種ずつ付き従う動物が配されている。五行では占いに用いられ、仏教では修行者を悩ませるものといわれている。
前面の欄縁には「竜、猫、兎、狐、豹に虎」、欄縁の右側には「牛、水牛、蝙蝠、豚、猪」、 左側には「羊、麒麟に、ミミズやなめくじ」までもが、後側は「鶏、狼など」がいる。
そして、胴掛は朱の地に金糸で刺繍された麒麟に、方位四神と獅子。
見送には「雲龍」、見送裾房金物は「アブ、トンボ、セミ、カマキリ、バッタなど」と虫尽くしである。
鉾屋根の長刀に生き稚児と曳き方の法被が長刀鉾の特徴と見ている人は多いが、動植物満載の鉾であることに気づいている人は少ない。
疫病邪悪を祓うとされる山鉾には、人の心に棲む闇の創造物も乗せ飾られていたのである。
年が明けて、今年6月に国際日本文化研究センター(略/日文研)が、絵巻物などに描かれた妖怪や化け物を収録した「怪異・妖怪画像データベース」をインターネット上で公開した。
8年前に公開された文字情報「怪異・妖怪伝承データベース」は、小生も利用させて貰っていた。このデータベースの姉妹版となる画像データベースは、浮世絵師の葛飾北斎(かつしかほくさい/1760〜1849年)や河鍋暁斎(かわなべきょうさい/1831〜1889年)、月岡芳年(つきおかよしとし/(1839〜1892年)の作品など、江戸から明治時代の絵巻物や文献計100点に描かれた妖怪を一つ一つ抽出し、三年がかりで画像データベースを完成させたのである。
これで妖怪の主題や原典などの解説の付いた、1826件もの妖怪の姿を見ることができるようになった。今後もその絵図の件数を増やしていくという。
民俗学の小松和彦教授は、
「日本の多様な妖怪文化は世界に誇れる。日本文化に関心を持つ海外の研究者、一般の人々にも見てもらい、豊かな妖怪文化を感じてもらえれば。そこから各地のキャラクターや商品、アニメのモデルなど新しいものに活用してもらいたい」と話している。
これまでに、日文研は、「日本妖怪学大全」(小学館)や、リレー式コラム集「怪異・妖怪百物語 −異界の杜への誘い−」(明治書院)を発表し、各方面の注目を集めていた。
怖いもの見たさの好奇心で早速に検索してみた。
妖怪の呼称のほか、「角」「一つ目」など容姿やしぐさ、持ち物、色、その特徴でも検索ができる。
例えば、「一つ目」と入力すれば、「山男」や「ちょうちん」「見越し入道」などの一つ目の妖怪の図がドーンと並び、登場。そのひとつの画像を選ぶと、画像・主題・内容記述・出典の情報源などが表示される。
主題/「山男;ヤマオトコ,一つ目;ヒトツメ」、内容記述/「山中に一つ目の山男が立っている。髪は長く顔は白ひげで覆われ、手足には鋭い爪が生え体毛が濃い。上半身は裸で木の葉の腰蓑、木の枝を持っている」、
情報源/「怪物画本;カイブツエホン」などと。
さて、千年の都・京都には、怪異や妖怪たちの伝説がたくさん残っている。
まずは、京都に関わる怪異妖怪の話にまつわる画像を探すことにした。
伝承データベースで妖怪や怪異のキーワードを拾い上げ、画像データベースに打ち込む要領が良さそうである。
日本初の妖怪画像データベースを今夏は離さないものにして、涼夏を迎えるようにしたい。
京都が発信する怪異や妖怪の話はデータベースだけではない。
妖怪をテーマとしたまちづくりを標榜している「京妖会」という団体がある。正式名は「京都妖怪まちづくり実行委員会」である。
大将軍商店街(妖怪ストリート)、大映通り商店街(キネマストリート)、東映太秦映画村、京福電鉄、立命館大学、角川書店が中心となり、夏の妖怪事業を展開している。
お馴染みになっている「映画村の妖怪まつり」や「嵐電の妖怪電車・怪談電車」、「商店街の仮装行列百鬼夜行」なども、その一環にある。親戚の子供を連れて出かけるが、鬼太郎の衣装を着せて貰った幼子はもう大喜びである。
そして、お化け大学校なるものが昨年8月に開校された。総長水木しげる、教授京極夏彦、荒俣宏という布陣の妖怪学校である。京都キャンパスのほかに、同年10月にはサンフランシスコキャンパスも開校されている。略称は「化け大」である。
化け大倶楽部というSNSも始まり、遊び心満点の事業プロジェクトが賑わしく聞こえてくる。
更には、ユニクリエイトの「妖怪絵ハガキ」といい、妖怪堂カフェの「怪談話に魔界ウォーク」といい、B.B.Aの京都妖怪スポットめぐり「モノノケバス」や「怪談夜バス」の運行といい、京都の街は妖怪で熱くもなり、涼しくもなってきている。
河童や天狗、鬼、あるいは不思議な能力をもった狐や狸、蛇、猫といった動物たちを、昔の人は「もののけ」とか「化け物」、「変化・魔性の物」などと呼んで恐れていた。それから、妖怪が幼子の友達として存在するようになり、今やその妖怪達も世界を駆け巡っている。
妖怪天国ニッポン (京都国際マンガミミュージアム)
http://www.kyotomm.jp/HP/2009/06/yokai.html
怪異・妖怪画像データベース (国際日本文化研究センター)
http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiGazouMenu/
怪異・妖怪伝承データベース (国際日本文化研究センター)
http://www.nichibun.ac.jp/youkaidb/
お化け大学校
http://www.obakedai-kyoto.jp/
妖怪ストリート (大将軍商店街)
http://www.kyotohyakki.com/
【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
5318-100622-夏
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