鉾がなおされ、いよいよ祭りも本番

前祭 山鉾巡行・神幸祭 by 五所光一郎

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翌日から三連休となった今年(2010年)の祇園祭宵山は最高の人出となった。
報道によると、市内中心部は、午後9時現在で昨年より4万人多い35万人(京都府警発表)、午後11時現在には昨年より9万人多い47万人にまで人出が膨れ上がった。
前日までの悪天候で外出を控えていた人、週末の仕事帰りの会社員、三連休を使っての観光客も加わり、最高潮の賑わいを見せたのだろう。

因みに、午後6時から歩行者天国となった15日の宵々山での人出は12万人(京都府警調べ午後11時現在)と、雷が轟き強い雨が叩きつける天候の所為か、例年の半数である。
一方、山鉾巡行当日の17日は、梅雨明け宣言が出されるほどの好天気に恵まれ、日曜日とも重なり、この日の人出は約20万人(京都府警調べ午後1時現在)と発表され、過去17年間で最多にあたるという。

交通機関や旅館、飲食店や物品販売などその波及効果は、約330億円を超えるとの試算が京都府で行われている。ほんとに観光ビジネスは大きい。年間6000億といわれる京都観光収入の5%強を占めているのである。
身近に考えると、祇園祭で100万人の人出として、一人がペットボトルを一本飲んだとしても約1億5000万円、夜店のたこ焼き一舟買ったとして5億円なのである。
混雑に暑苦しくて迷惑だとばかりは言ってられなくなる。口を慎まなければ袋叩きにされるやも知れない。

ところで、この人出はどうやって数えているのだろうか。
衛星写真を拡大して数えているわけではなかった。

祇園祭では、京都府警の定めた六地点のそれぞれ1?の人数を、一日三回計測し、祭に関係する場所約7万2000?に換算して基数が出される。
さらに、計測区間の平均所要時間、回転率などから人数の概算値を求め、ビデオカメラ映像の解析や、前年の様子との比較などで多角的に計算されていると聞く。

同府警は「警備上、算出する数値で、実数にかなり近い」とコメントしている。
1?あたりの人の混み具合は、肩がぶつかる程度なら1?あたり6〜7人、通勤電車のラッシュ並みなら10人位としているようだ。

こけだけの人に大挙して貰える前祭(さきのまつり)山鉾巡行が、祇園祭の華となったのは室町時代以降である。そして、その巡行の宵山の風情を際立たせる駒形提灯を見物に出向くのが、祇園祭のクライマックスと思われる程に人出を集めているのである。

宵山に出掛けても宵宮に出かけない人も多い。いずれも祇園祭前祭の前夜を指しているのだが、山鉾巡行に対してを宵山八坂神社神幸祭に対してを宵宮と呼び分けている。山鉾が巡行の後、鉾町に帰り解体されだすと、祇園祭が終わったと帰られる方も多い。

しかし、小生にとって、祭りは始まったばかりなのである。
室町時代以前には山鉾巡行はなかった。貞観11年(869年)、疫病を鎮める祈りを込めて、卜部日良麿(うらべひらまろ)が神泉苑に66本の矛を立て、神輿三基を送り牛頭天王(ごずてんのう)を祀り、御霊会(ごりょうえ)を行ったのが祇園祭の起源で、山鉾巡行は安和3年(970年)より室町界隈で毎年行われるようになったものである。

つまり、大神輿三基が氏子町の御旅所においでになられない事には祭りは成立しないのである。
山鉾巡行で浄められた四条寺町にある御旅所へ、神輿が渡御され駐輦(ちゅうれん)されてこそ、祭りの始まりといえる。

三連休のためか、今年の石段下には例年に見られない群衆が神幸祭の神輿渡御を見守っていた。
祇園祭で最も重要な儀式神幸祭の神事は午後4時に始まり、八坂神社拝殿に安置された三基の神輿が担ぎ出され、午後6時石段下に揃う。
久世駒形稚児の先導に、清々講社の手になる八坂神社神宝を先頭にして氏子町を巡行し、寺町四条の御旅所に向かうのである。

神輿三基の練り歩きには各々の巡行経路があり、神輿渡御に随伴するにも3年はかかる。
石段下での神官の祓いのあと、輿丁(よちょう)らは、担いだ両手を真上に伸ばす「差し上げ」、差し上げたままゆっくり回転させる「差し回し」を披露して、三若の担ぐ中御座の担ぐ西御座は四条通を西へ、四若の担ぐ東御座は東大路を北へと練って行く。

「差し上げ」「差し回し」の号令、囃し言葉は「差せぇー」「回せぇ、回せぇ」で、それらは祭神への敬意を表すものと言われている。「カン鳴らし」の「ホイット ホイトッ」のリズミカルで激しい囃しとは正反対に、あたり一帯が大変厳かで静寂な空気に包まれる。

石段下での東御座の優美な「差し回し」に見とれ、夕闇迫る東大路を北へと練り歩く神輿のあとに引きづられるようについた。
東大路を知恩院新門まで行くと左の新橋通に折れ、花見小路の方に向かいだした。
この分なら、巽神社を経て新橋通の石畳を行くのであろうと、先回りすることにした。
三基の巡行する地域は概ね分担が決められているが、練り歩く道は微妙に毎年変わるのである。
練り歩きの風景で、巽神社から縄手通までの新橋が神輿には一番お似合いだと思うし、誰もが好きになれるところで、祇園祭に相応しく絵になる界隈である。
瓦屋根と格子戸に石畳、電線など無粋なものもなく、神輿の屋根が鈍い光を放ちながらシャンシャンと音を刻む。西御座のゆく花見小路四条下るも見逃せない場所である。

提灯の灯りが見えた。
東御座がその灯りと街灯を受けて、闇に光を投げ返している。
だんだんと近づいている。あたりが騒がしくなってきた。
見物場所を探して巽さんの祠の横に立った。ここなら白川の方へ神輿が進んだとしても間に合うだろうと。

日本髪の綺麗どころが神輿の出迎えに表へ出てきた。
輿丁も気づいたのか、掛け声に一層の力がこもったように聞こえる。

祇園祭というと、クライマックスの宵山、ハイライトといわれる生稚児の注連縄切りに山鉾の辻まわし、これらが語られることが多い。
しかし、それらに勝るとも劣らないのが、神輿渡御だと信じて疑わない。

そして、寺町の御旅所での神輿振りが、前祭のクライマックスである。

御旅所前での三基の神輿振りには、体中をジーンと熱くさせられ、身震いを覚える。
その名残を惜しみ最後まで居座った。帰宅すると、午前0時を過ぎていた。



祇園祭2010神幸祭神輿ルート
http://arc.sahara-makoto.net/?eid=957471



【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
5324-100720-7月

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