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「そうだ 京都、行こう。」の平成22年秋のキャンペーンポスターを見た。
「暑い」「寒い」だけで
私の一年が終わるなんて、
ジョーダンではありません。
と、紅葉に包まれるくろ谷さんの五色の垂幕をつけた楼門を背景にキャッチコピーがある。
その公式サイトにキャンペーンCMの動画があった。クリックした。
♪ 暑いとかぁ寒いとかぁ・・それだけで私の一年が終わるなんて、ジョーダンではありません。 この国にはあ〜綺麗だぁ!と、口にできる季節が、必ず来るのです。
法然さんも眺めたであろう美しい夕日を、私もじっと待つことにします。
・・・・・キレイだ。♪
バンドネオンの奏でる哀愁のメロディーにナレーションをのせて、見慣れた景色が次々と表れる。
墓地の丘から眺めた夕焼けの山門・御影堂前から東山、庫裏の方へ駆ける園児の後ろ姿・紅葉に囲まれた山門を左回りに追う・寺務所前の坂を上がる僧の列とはしゃぐ園児・緋色の葉波・紫雲の庭に燃ゆるモミジ・文殊菩薩像・見上げるように三重塔・西山へ沈む夕日に山門。
まるで30秒のドラマだ。くろ谷さんを実に上手く捉えている。流石にJR東海と東京電通である。
京都人でさえ感心するのだから、このCMを見る人たちは関心を抱き、きっと歓心を買いに京都に訪れたくなるだろう。
折りしも、恒例となっている金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)の秋の特別公開の期間である。京都市内が一望できる「山門楼上」に上がり、大方丈に紅葉の紫雲の庭の公開を楽しむことができる。
しかし、キャンペーン寺院となった今年からは、そうのんびりとはさせて貰えないだろう。
去年までなら山門楼上に上がるのも並ばなくてもよかったし、急勾配の梯子のような階段も足を踏み外すことのないようゆっくりと上がらせて貰えた。
薄暗い階段を登り詰めると、一転して明るい景色が広がる楼閣の見晴らしとなる。
まるて天守閣の殿様気分である。眼前に広がる空間に景色を遮る障害物などない。
緑青の屋根の隣に朱の鳥居が見え、その先には京都タワーに西山の峰々が控えている。
これで南西を眺めていることがわかる。京都の市街地が手に取るように一望できる。晴れた日には遥か向こうに大阪のツインタワーが見えるという話である。
その左手の方へ目を遣ると知恩院の大きな屋根が緑の中に姿を表している。
楼上は三方が開放され、伽藍のある北側の縁は止められていた。
北西に愛宕山のこぶがわかる。西の先は小倉山であろうか。
東には墓碑群と文殊菩薩像が安置されていた三重塔が丘の上に見え、連なる東山連峰を右手に追うと、麓に南禅寺の楼門の屋根が見下ろすように覗える。
楼上の欄干の四隅に擬宝珠(ぎぼし)があるが、蓮の花を逆さにした形態のもので飾られていた。
縁から中に入ると、天井の「龍の図」は臨済宗寺院の龍の図を凌ぐ迫力で真上から迫ってくるばかりか、その下には金箔に光る阿弥陀如来像と極彩色の衣をつけた十六羅漢像が安置されていた。そこに居ると、しばし悠久の時の流れを感じる。
本来は御影堂に参拝してから山門に上がるのが順序なのだろうが、浅学非才の所為で山門の特別公開を先に済ませてしまった。
山門脇の法然上人の幼少の頃の銅像に手を合わせ、石段を上がり御影堂前に進んでいくと、左手にイチョウの黄葉が目映いばかりに辺りを染めている。地面までも塗り染めたように落ち葉が散り、黄泉の園を描いているように見えるのである。
安息の笑みを浮かべ仏像が座し、また立っている。散策マップにない知られざる金戒光明寺の顔のひとつだと推奨できる。
御影堂に参詣して、渡り廊下を渡ると公開中の大方丈へと続く。閉ざされた勅使門との間の白砂の庭が見える。そして紫雲の庭に下りることとなる。
緋色のモミジに白砂が眩しい。
白砂に苔に石、巧妙に並べられている。石灯籠に供養塔も混じって建てられている。
庭を回遊していると、花峯庵の屋根の上にかかる朱色のモミジを見つけた。紫雲亭のガラス戸が額縁となり、だまし絵風に紅のモミジを見せている様子も見られる。
かと思えば、池に射す光が木々の影を映しだし、葉の戯れに色をつけていく。
実像と虚像を交互に見る。波紋が先の絵を消していく。その後にまた描き出されてゆく。先の絵をなぞるようにそれは繰り返される。
暫く眺めていると、人生の縮図のようにも見えてくるから不思議である。
問わずとも教えてくれる。それはお寺の庭の所為なのかもしれない。
河骨(こうぼね)の黄色く小さい花が池に夏の面影を残している。
見上げると色とりどりの紅葉が池を覆い、その先に大方丈の甍が光りを投げ返していた。
順路に沿って進んでゆくと、その甍が燃えるような真紅の葉色とのコントラストを見せ、記憶の部屋にダウンロードされていく。
紫雲の庭をあとに廊下伝いにゆくと、公開されている寺宝を見ることができる。
寺務所の玄関口で足と目を留めさせられた。
思わずそこに座した。
極楽池につながる坂道の脇から阿弥陀堂裏に向かって伸びる枝がクローズアップされて見えるところである。
寺内の薄暗さに慣れた目で外の光線を見たためであろうか、玄関口の中側が真っ暗になった。
暗闇の中に浮かび出される一幅の画がある。
またまた、ダウンロードは始まりだした。
ゆったりとした静けさの中に身を置ける場所であったくろ谷さんも、楽しみ方が変わるのであろうか。心配でもあり、嬉しくもある。
くろ谷さんの境内は高低差があり、まことに広い。
ゆったりと散策するつもりなら、文殊塔参道の石段を歩き、住み着いた黒猫の後を追うのもいいかもしれない。あちこちと案内してくれる。
墓地には様々な形の石塔や墓碑が立ち並び、それぞれの古の時代を伝えている。
眼下には、悠然とした市街地が見渡せるから、石段を上がる途中に何回も振り返るだろう。
そうこうしていると三重塔にたどり着く。ところどころに建つ紅葉した木々に見とれ歩を進めていくと、法然上人の紫雲石へと行き着き墓地を一周することになる。
そこは塔頭西雲院と隣り合わせにあり、小さな山門を覆う紅葉は実に見ごたえのある風情である。
その東向かいにある会津藩士の墓碑に礼拝し、そのまま戻らず真っ直ぐ先へ進むと、真如堂の境内に到る。
散策マップで紹介される紅葉の風景は実に素晴らしいものである。
そこを見たあとに、先を急がず自分だけの紅葉のシーンを探し、見つだすのも乙なものではないか。
金戒光明寺の紅葉 (浄土宗大本山くろ谷金戒光明寺)
http://www.kurodani.jp/recommend/momiji.html
「そうだ 京都、行こう。キャンペーン」 (JR東海)
http://souda-kyoto.jp/campaign/index.html
【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
「暑い」「寒い」だけで
私の一年が終わるなんて、
ジョーダンではありません。
と、紅葉に包まれるくろ谷さんの五色の垂幕をつけた楼門を背景にキャッチコピーがある。
その公式サイトにキャンペーンCMの動画があった。クリックした。
♪ 暑いとかぁ寒いとかぁ・・それだけで私の一年が終わるなんて、ジョーダンではありません。 この国にはあ〜綺麗だぁ!と、口にできる季節が、必ず来るのです。
法然さんも眺めたであろう美しい夕日を、私もじっと待つことにします。
・・・・・キレイだ。♪
バンドネオンの奏でる哀愁のメロディーにナレーションをのせて、見慣れた景色が次々と表れる。
墓地の丘から眺めた夕焼けの山門・御影堂前から東山、庫裏の方へ駆ける園児の後ろ姿・紅葉に囲まれた山門を左回りに追う・寺務所前の坂を上がる僧の列とはしゃぐ園児・緋色の葉波・紫雲の庭に燃ゆるモミジ・文殊菩薩像・見上げるように三重塔・西山へ沈む夕日に山門。
まるで30秒のドラマだ。くろ谷さんを実に上手く捉えている。流石にJR東海と東京電通である。
京都人でさえ感心するのだから、このCMを見る人たちは関心を抱き、きっと歓心を買いに京都に訪れたくなるだろう。
折りしも、恒例となっている金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)の秋の特別公開の期間である。京都市内が一望できる「山門楼上」に上がり、大方丈に紅葉の紫雲の庭の公開を楽しむことができる。
しかし、キャンペーン寺院となった今年からは、そうのんびりとはさせて貰えないだろう。
去年までなら山門楼上に上がるのも並ばなくてもよかったし、急勾配の梯子のような階段も足を踏み外すことのないようゆっくりと上がらせて貰えた。
薄暗い階段を登り詰めると、一転して明るい景色が広がる楼閣の見晴らしとなる。
まるて天守閣の殿様気分である。眼前に広がる空間に景色を遮る障害物などない。
緑青の屋根の隣に朱の鳥居が見え、その先には京都タワーに西山の峰々が控えている。
これで南西を眺めていることがわかる。京都の市街地が手に取るように一望できる。晴れた日には遥か向こうに大阪のツインタワーが見えるという話である。
その左手の方へ目を遣ると知恩院の大きな屋根が緑の中に姿を表している。
楼上は三方が開放され、伽藍のある北側の縁は止められていた。
北西に愛宕山のこぶがわかる。西の先は小倉山であろうか。
東には墓碑群と文殊菩薩像が安置されていた三重塔が丘の上に見え、連なる東山連峰を右手に追うと、麓に南禅寺の楼門の屋根が見下ろすように覗える。
楼上の欄干の四隅に擬宝珠(ぎぼし)があるが、蓮の花を逆さにした形態のもので飾られていた。
縁から中に入ると、天井の「龍の図」は臨済宗寺院の龍の図を凌ぐ迫力で真上から迫ってくるばかりか、その下には金箔に光る阿弥陀如来像と極彩色の衣をつけた十六羅漢像が安置されていた。そこに居ると、しばし悠久の時の流れを感じる。
本来は御影堂に参拝してから山門に上がるのが順序なのだろうが、浅学非才の所為で山門の特別公開を先に済ませてしまった。
山門脇の法然上人の幼少の頃の銅像に手を合わせ、石段を上がり御影堂前に進んでいくと、左手にイチョウの黄葉が目映いばかりに辺りを染めている。地面までも塗り染めたように落ち葉が散り、黄泉の園を描いているように見えるのである。
安息の笑みを浮かべ仏像が座し、また立っている。散策マップにない知られざる金戒光明寺の顔のひとつだと推奨できる。
御影堂に参詣して、渡り廊下を渡ると公開中の大方丈へと続く。閉ざされた勅使門との間の白砂の庭が見える。そして紫雲の庭に下りることとなる。
緋色のモミジに白砂が眩しい。
白砂に苔に石、巧妙に並べられている。石灯籠に供養塔も混じって建てられている。
庭を回遊していると、花峯庵の屋根の上にかかる朱色のモミジを見つけた。紫雲亭のガラス戸が額縁となり、だまし絵風に紅のモミジを見せている様子も見られる。
かと思えば、池に射す光が木々の影を映しだし、葉の戯れに色をつけていく。
実像と虚像を交互に見る。波紋が先の絵を消していく。その後にまた描き出されてゆく。先の絵をなぞるようにそれは繰り返される。
暫く眺めていると、人生の縮図のようにも見えてくるから不思議である。
問わずとも教えてくれる。それはお寺の庭の所為なのかもしれない。
河骨(こうぼね)の黄色く小さい花が池に夏の面影を残している。
見上げると色とりどりの紅葉が池を覆い、その先に大方丈の甍が光りを投げ返していた。
順路に沿って進んでゆくと、その甍が燃えるような真紅の葉色とのコントラストを見せ、記憶の部屋にダウンロードされていく。
紫雲の庭をあとに廊下伝いにゆくと、公開されている寺宝を見ることができる。
寺務所の玄関口で足と目を留めさせられた。
思わずそこに座した。
極楽池につながる坂道の脇から阿弥陀堂裏に向かって伸びる枝がクローズアップされて見えるところである。
寺内の薄暗さに慣れた目で外の光線を見たためであろうか、玄関口の中側が真っ暗になった。
暗闇の中に浮かび出される一幅の画がある。
またまた、ダウンロードは始まりだした。
ゆったりとした静けさの中に身を置ける場所であったくろ谷さんも、楽しみ方が変わるのであろうか。心配でもあり、嬉しくもある。
くろ谷さんの境内は高低差があり、まことに広い。
ゆったりと散策するつもりなら、文殊塔参道の石段を歩き、住み着いた黒猫の後を追うのもいいかもしれない。あちこちと案内してくれる。
墓地には様々な形の石塔や墓碑が立ち並び、それぞれの古の時代を伝えている。
眼下には、悠然とした市街地が見渡せるから、石段を上がる途中に何回も振り返るだろう。
そうこうしていると三重塔にたどり着く。ところどころに建つ紅葉した木々に見とれ歩を進めていくと、法然上人の紫雲石へと行き着き墓地を一周することになる。
そこは塔頭西雲院と隣り合わせにあり、小さな山門を覆う紅葉は実に見ごたえのある風情である。
その東向かいにある会津藩士の墓碑に礼拝し、そのまま戻らず真っ直ぐ先へ進むと、真如堂の境内に到る。
散策マップで紹介される紅葉の風景は実に素晴らしいものである。
そこを見たあとに、先を急がず自分だけの紅葉のシーンを探し、見つだすのも乙なものではないか。
金戒光明寺の紅葉 (浄土宗大本山くろ谷金戒光明寺)
http://www.kurodani.jp/recommend/momiji.html
「そうだ 京都、行こう。キャンペーン」 (JR東海)
http://souda-kyoto.jp/campaign/index.html
【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
5342-101109-11月
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