小さい秋が見つかるやも

どんな秋にするか by 五所光一郎

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蝉時雨が遠のいてきたかと思いながら庭に水遣りをしていると、夕暮れとともに虫の音が聞こえだしてきた。めっきりと日の暮れる時間が早まっている。

鼻歌交じりで口ずさんでしまった。
♪あれ松虫が鳴いている ちんちろちんちろ ちんちろりん、 あれ鈴虫も鳴きだした りんりんりんりん り〜んりん、秋の夜長を鳴き通す ああおもしろい虫のこえ♪
りんりんりい〜ん、季節の変わり目は五感に強く語りかけてくる。間違いなく秋の訪れを感じる。

スポーツの秋、食欲の秋、読書の秋、芸術の秋…。世に「ナニナニの秋」という言葉は多いが、これは四季を通して秋にだけ見られる特徴ではないか。「ナニナニの春」「ナニナニの夏」「ナニナニの冬」という言葉は、あまりピンとこない。

文化もスポーツも秋だけに限らないのに、「文化の日」も「体育の日」も秋に定められた祝日である。不思議なことだ。

考えてみるに、農耕社会であった日本、四季の中で労働が決まっていた。
過酷な夏の労働を済ませ、実りの秋を向かえ、豊穣の喜びに祭を祝う。
糧を得た上の過ごしよい時期でないと、文化的なことに励めなかったのかもしれない。


しかし小生の秋、まず食べることが浮かんでしまう。

焼いた秋刀魚(サンマ)に大根おろしをのせて醤油がけ、刺身盛にはトロ秋刀魚を、酢の物碗にはシメ秋刀魚がほしい。

栗ご飯か、銀杏ご飯かを迷うより、吹き寄せにするのが良いだろう。
松茸の土瓶蒸しは欠かせないし、柿のデザートの後にはふかし芋を茶うけにしたい。

次に車を走らせることを考える。車窓のみならず花の見られる所を網羅しておくのが良い。

萩と曼珠沙華(マンジュシャゲ)に始まり、秋桜(コスモス)に菊、ススキの草原も外せないし、金木犀(きんもくせい)の香りも忘れてはならない。晩秋の紅葉狩りは勿論メインプランに組みたい。
こうしてみると、「スポーツの秋」や「芸術の秋」が縁遠くなっているようだ。

「読書の秋」はインターネットでの情報利用ばかりで、読みふけて見識を高めることが失せてきている。催事見物やスポーツ観戦、芸術観賞、音楽鑑賞には、辛うじて足を運んではいるが、自らが創造、表現することからは遠ざかっている。
つまり、評論家や傍観者にはなるが、得たものから共鳴感染し、自らの作品を通じての表現者として、自己を主張する文化が退化してしまっていることに気づくのだ。

写真を撮るも、オートフォーカス頼りのスナップを溜めている。

恥ずべき事と自戒するも、美意識に無頓着な老いが邪魔して、改まらないのだから性質が悪い。

こうなれば、相当に強烈な刺激の何か誘発剤が必要である。

明日の自分再生の起爆となる培養菌を見つけ出し、その強烈な菌に感染したい思いである。
おりしも毎年秋には、京都が世界に誇る「文化芸術都市」であるということを国内外にアピールしていくという「京都文化祭典」が、1ヶ月半の期間開催されている。

大層な口上であるが、伝統芸能や先駆的な文化芸術を全国に発信すると謳われている。
是非確かめに行きたい。

そして、表現者としての感染源が見つかれば儲けものである。


京都文化祭典
http://www.k-af.com/


【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
5080-130919-9/16

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