歳の瀬は Xmasか 天神さんか

終い弘法・終い天神 by 五所光一郎

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師走も中盤を迎えると一層気忙しく感じてくる。
街中は至る所にクリスマス色が溢れている。

昨今は、カラフルなイルミネーションイベントや飾りつけが、特に華やかである。
確かに、目を見張るほどのファンタジックな光のアートに感動する。
なぜなら、光や明かりは夢とか希望を象徴しているし、喜びを暗示しているからである。
祭礼や祝祭という必然性が希薄であるイルミ催事であっても、祭事ムードが高まり、更に恒例化となれば、風物詩と、化してくるというものだ。

最近は、近隣の家々にもイルミネーションが点り、住宅街をおとぎの国のようにしている光景も見受ける。しかし、風物詩と感ずるまでには小生は至らない。
テーマパークやショーイベントの企画演出よりも、信仰という精神基盤の歴史の方に、重きを置いた評価をしているからだ。
それは、「送り火」や「かがり火」や「おけらまいりの火縄」で育った所為だけであろうか。

小生が歳の瀬を感じるのは、弘法大師の月命日にあたる21日の「終い弘法」と、菅原道真公の生誕日であり命日である25日の「終い天神」に出かける時だ。
この「縁日」に「弘法さん」や「北野さん」に出かけることに風情を感じる。
伝統的な市や露天商に出会うことは、フリーマーケットガレージセールで掘り出し物を見つけるのとは訳が違うのである。

そもそも「縁日」とは有縁(うえん)の日、結縁(けちえん)の日のことである。すなわち、それぞれの神仏に特定の由緒ある日のこと。この日に参詣すれば、特別のご利益(りやく)や大きな功得(くどく)があると信じられている。
神仏とこの世の人とが、深い縁を結べる日なのである。

この縁日には社寺参詣客を目当てにして、古くから境内には「市」が立っていたのである。
骨董市がポピュラーになったが、植木市から道具市など日常生活用品から食料品まで、各種の品物が揃い、掘出物にも出くわすという具合だ。
そこでは、露天商の屋台が賑わいを誘い、色を添えている。
縁日」の主客が転倒するほどに、露店商や市が脚光を浴び、楽しみとなる時代が長らく続いていたのである。TVやインターネットでは得られない情感がここにはある。

「ようけ買(こ)うてや」
「こない買うさかいに、どーんとまけてーな」

と、やり取りしながら、注連縄(しめなわ)など迎春用品縁起物おせち料理の材料などを買って帰るのである。

教王護国寺の別名、東寺(南区九条町075-691-3325)で行われる「縁日市」のことを、「弘法さん」と呼ぶ。
出店は全てプロの業者で東寺運営委員会九条露店組合出店実行委員(0774-31-5550)の手で行われ、その正確な出店数は公表されてないので不明である。一度数え出してみたが、気が遠くなり諦めざるを得なかった。1500店25万人というあたりが「終い弘法」のおおよその数であるらしい。
縁起物の骨董掘出物を狙うなら、南大門が開く朝の5時には行くべきだと聞く。
業者間の売買もこの時間から頻繁に行われているようだ。
勿論、弘法さんの「縁日」であるから、東寺講堂の「立体曼陀羅」の参詣をお忘れなく。

Xmasの25日、「終い天神北野天満宮/上京区御前通今小路/075-461-0005)」への参詣では、招福息災の大福梅縁起物祝箸お屠蘇などの迎春品が、午前7時から午後9時まで授与されている。
境内に立つ市では、買い忘れのないよう両手一杯に、数の子荒巻鮭葉牡丹注連飾り松竹梅の盆栽、年代物の干支置物など、買い納めしてみてはどうか。
縁日市は推定1300店舗で15万人(神社発表)の人出となる。
一年の行事を締め括る恒例神事の縁日、「終い天神」で振る舞い買いして、よき歳を。


東寺 弘法市 
http://www.touji-ennichi.com/
北野天満宮 天神さんの市
http://www.kitanotenmangu.or.jp/ennichi/index.html


【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
5020-131219-12月

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