簾の結界は癒しを届けてくれる

スローインテリア / 京すだれ by 五所光一郎

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(すだれ)をはじめとするスローインテリアに、これ程の反響があるとは思いもしなかった。
そこで、も少し足を踏み入れて記すことにしたい。

日曜大工センターに「」は並んでいるが、専門商となると、全国では50軒位しか製造販売をしていないようだ。とりわけ「京」となると僅か10軒しかない。
手作りのとなると、概ね京都に限られてくる。

その素材はというと、屋外に使うは、日除けとしてまた風通しの良さという実用性から、琵琶湖の葭/よし)で編まれている。
屋内用のものは、「座敷」と呼ばれているが、「洛西の真竹」を丁寧に編み込み、その縁には西陣織が使われている。

そもそも京の座敷は「御(みす)」をルーツにしている。
「御」は平安時代より宮廷の調度品として欠かせないものであり、永らく京の手仕事で作られてきた。
時代の変遷の中で、神社仏閣、武家屋敷にも「御」の使用は認められてきたが、一般庶民の家屋での使用は固く禁じられていたと聞く。
というのは、「御」は神聖な場所と俗世との結界の役割を果たし、あらたかなものとの目隠しが「御」の存在意義とされていた為だ。
越しの天皇との、謁見(えっけん)シーンなどの映画を思い浮かべていただければよい。
「御」から「京」が生まれ、庶民が使い出せるようになったのは、文明開化後20年も後の事であった。

「御」は真竹(まだけ)、女竹(めだけ)を2ミリほどの細さに削って、色染めした後、赤い絹糸で編み、金襴(きんらん)が四方と内に付けられ、房を施したものである。
手の込んだ竹の編み上げは1日に亀甲編みで12センチ、葵編みでは4センチ程度しか出来ないそうだ。

結界としてのが、涼を取る装飾品としての座敷となり、茶屋や料亭、町家に姿を現すと、竹の醸し出す空気感は、安らぎと優雅さを生み出し、癒し効果を与えるようになった。
そのひとつとして知られるのが、祇園白川に面した川端座敷新橋にかかる京の町並みである。

街を歩くと、ビニール製のを目にすることがある。
今夏は、「京すだれ」で涼を楽しまれることを、お勧めしたい。


日本文化いろは事典
http://iroha-japan.net/iroha/B03_life/08_sudare.html
すだれ匠 よし末
http://www.tainaka.co.jp/index.html
京すだれ みす武
http://www.shinise.ne.jp/options/shinise/pa_outline.asp?temp_id=13&shp=49


【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
5032-060606-夏

関連歳時/文化

琵琶湖の葭

座敷簾
洛西の真竹
西陣織
御簾
京簾
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