秋分の頃 出町柳界隈攻略

萩とおはぎ by 五所光一郎

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「萩よりおはぎ」というなかれ。
「萩とおはぎでお彼岸さん」と、行楽の休日を楽しみたい季節ではあるまいか。

京都で「萩の寺」と言えば、勝海舟の宿坊であった「浄土宗 常林寺 (左京区川端通今出川上ル)」である。
出町柳のバス停留所が真前で、バス停にあるといったほうがわかり易い位である。
観光寺院ではない街の小さなお寺だが、喧騒を避けて近場で萩の花を見たければ、ここが穴場である。
小さな門を潜ると、深々と穂先を垂れた萩が生茂っている境内が出迎えてくれる。
枝垂れた先には、赤紫や白の花穂が膨らみ、また咲き開いている。垂れた花穂の先は石畳をめざしている。境内の地下層は砂礫の層で、萩にはうってつけの住まいだそうである。

さて、ここからである。出町柳は鯖街道の終点地で市内各方面に行く先が選べる要所である。
萩の花を思い浮かべると、東には雲のかかったような法然院の萩に詩仙堂、 東南には平安神宮池泉回遊式庭園の神苑公開に青蓮院霊山観音、 北には珍しい薄紅色の上賀茂神社の萩、西北には大和路の古寺に似た光悦寺の土塀の萩、西には竜安寺、何処に出向くか迷いが走る。 

小生は西南と決め込み、「萩の宮 梨木神社」とする。
これだと徒歩で行ける上に、途中の出町商店街で「おはぎ」を買い込み、「萩とおはぎ」の両者を楽しめる。
常林寺が面する川端通を下がると、高野川と賀茂川が合流して鴨川となっているのが分かる。そのはじめの橋となる賀茂大橋を西に渡り、河原町通を目指す。河原町今出川の交差点を北へと右に折れると出町商店街である。

ここで「おはぎ」を買い求めるのだが、全国的に有名になりすぎた「豆餅のふたば」を避け、ここは「季節の生菓子・赤飯のおた福屋」としよう。
何故なら、「おはぎ」は餡であるからして、「おた福屋」の固めのつぶ餡の潰し具合と、噛み締めるとひろがる小豆の濃さを舌に思い出させるためだ。
他とは一線を画する味わいである。その証か、「おた福屋」の会長は「京都府の現代の名工」に和菓子職人の優秀技能者として、制度施行早々に選ばれている。
ここを「おはぎ」の穴場だと推奨する。「ふたば」と食べ比べてみるのも良い。
ふたばの前(河原町北地区)を少し上がり、西に曲がったすぐの所(桝形地区)である。

お土産をお考えなら、出町商店街の「京つけもの田村宗」(河原町北地区)と寺町の「野呂本店の京ちりめん」(寺町地区)がお薦めだ。
さて、一路寺町通を目指し西に進み、寺町通を南へ下がり、一気に「梨木神社」に向かうとする。

シルバーウィークの頃には「萩まつり」が行われているはずだ。
境内には数百株の萩が咲き誇り、参道には「萩のトンネル」が出来上がることで知られている。
祭典では青竹に入れられた菊の花や萩の花に、虫籠にいられた鈴虫、季節の野菜や果物が献納される。狂言、舞楽や抹茶席も催され、日曜日の抹茶席は記念絵皿付である。
帰りには京都三名水のひとつ「染井の井戸」よりペットボトルへ名水を分け貰って帰ることにする。
そして、花野に出た気分で、句こそ読めないが、「おはぎ」を片手に御苑内で一服としたい。

「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびおり) かき数うれば 七種(ななくさ)の花
萩の花 尾花葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝顔の花」(山上憶良 万葉集巻八)


萩という植物 (萩の花WEB)
http://homepage2.nifty.com/hagiitar/hagi-web/hagi-bun.htm
路地裏旅人 -出町柳界隈- (旅人in京都)
http://www.geocities.jp/tabito_in_kyoto/tabitokyoto_058.htm
出町商店街振興組合
http://www.demachi.jp/
おた福屋 (京都のプロが通うプロのお店)
http://masugata.demachi.jp/contents/tenpo/higasi/otafuku/otafuku.html
京つけもの・味噌 (田辺宗)
http://www.tanabeso.jp/
京漬物・京ちりめん (京出町 野呂本店)
http://www.norohonten.co.jp/

【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
5049-150917-9月

関連歳時/文化

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