桜散るとは 疫神が舞い散るか

京の旅 /  三大奇祭 やすらい祭 by 五所光一郎

春本番、桜満開で、多くの人で賑わう京都。外貨大獲得の観光シーズンが到来した。
桜の名所は勿論、各社寺では観桜会など様々な行事、祭事で大わらわである。
一方地元では、混雑や渋滞を避けた桜見の話に花が咲いている。

桜の開花が人の心を和ませ、足元を軽やかにしてくれるばかりか、「都をどり」を皮切りに、「北野をどり」と花街の舞いや踊りも始まり、舞妓さん達の艶やかな姿のポスターが行楽気分に拍車をかけてくれる。
更に、寺院の「春の特別公開・特別拝観」の響きには、未だに気持ちを高揚させられる。
これでは一週間に7日は短すぎる。一ヶ月が30日ではあまりにも足らな過ぎるのだ。
癒されるどころか、嬉しいながらも気忙しいというものだ。
考えてみた。欲張らずに的を絞ることにしようと。
そこで、外せないとしたのが「やすらい(安土)祭」である。

平安時代に始まるこの「鎮花祭」は、今宮神社玄武神社川上大神宮の三社の氏子の手により今も執り行われている。
室町期には風流の囃子ものも加わり、紫野には京都市中よりこぞって民衆が集まったと言われている。
「風流」とは、着飾ったり妙な仮装をして踊り回り、悪霊を鎮め、取り込む行事のことである。
当日は、直径約2mの長柄の風流傘(ふりゅうがさ)を押し立て、行列の中心には赤や黒の飾り髪を振り乱した鬼達が、笛や鉦や太鼓を鳴らし、舞い踊り練り歩く。

「やすらい花や ヨーホイ」 「花や咲きたる やすらい花やー」
と、囃子ことばが繰り返される。
「やすらい」には、厄払い(やくばらい)の意が込められ、「散り急ぐな花よ、ゆっくりしなさいよ」と持て成し、疫神を鎮めようとしているのだそうだ。

春の桜が早々と散ることは疫病が舞い散ることと考え、凶作の兆しとも考えたのだろう。
桜の花が舞い散る頃に疫病が流行し、悩まされた平安時代より、これらを嫌い、疫神を鎮めようとした強い信仰が感じられるのだ。
花に宿る精霊が悪霊疫神を誘いだし、風流傘に閉じ込めてくれるとの言い伝えから、祭の当日風流傘の下に入る人達が多い。

今週の8日(4月第2日曜日)には紫野に出かけ、その傘の下に入り、人形(ひとがた)も是非納めたい。そして、あの可愛い絵馬を授かって帰ることにしたい。

時間が許せば、千本北大路の「上品蓮台寺」にも立ち寄りたい。

寺院西には東の「鳥辺野」、西の「化野」とならぶ葬送の地・「蓮台野」が広がっている。源頼光の武勇伝に出てくる「土蜘蛛の塚」のあるところだ。
華やかに咲き誇る桜とは趣きを異にする数本の紅枝垂れ桜が、静かにそして可憐に、はかなく咲き誇っているはずだ。

都をどり公式ウェブサイト
http://www.miyako-odori.jp/

非公開文化財特別公開 (京都おこしやす.com)
http://www.kyoto-okoshiyasu.com/see/special_dec.html

今宮神社 (うろちょろ京都散策)
http://www5e.biglobe.ne.jp/~hidesan/imamiya-jinjya.htm

今宮神社やすらい祭 (リスキーマウスのホームページ)
http://www.geocities.jp/rskykms/page408.html

玄武やすらい花 (玄武神社
http://www3.zero.ad.jp/gennbu/yasurai.html#yasurai

上品蓮台寺の桜ビデオ (堤タクシー)
http://www.kyotocity-taxi.com/video/00205haru_jobon.htm

【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
5095-070403-4/8

関連歳時/文化

やすらい祭
安土祭
鎮花祭
都をどり
北野をどり
関連施設/場所
今宮神社
玄武神社
川上大神宮
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