雛人形にもお守りを

ひなまつり by 五所光一郎

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弥生3月の香りが漂ってきた。
国立博物館で開催されている「雛まつりとお人形」のポスターが目に留まって仕方がない。
まだ足を運んでいないばかりか、我が家のお雛さんも飾れていない。
この時期「京人形」づくりの技の妙を楽しむには絶好のときの様である。
調べて見ると、市内の各地でお雛様が展示され楽しめるようだ。
 
女の子の成長と幸福を祈願して作られた京にある雛人形のコレクションが一同に見られるようにと、「京の雛めぐり」と題し、「国立博物館」、「京都文化博物館」、「博物館さがの人形の家」、「宝鏡寺門跡」では連携して展覧会が開催されているではないか。


東山七条の国立博物館では、江戸時代初期からの雛人形の歴史をたどった御殿飾りと段飾りが展示されており、今年は横幅が三メートルにもおよぶ豪華な御殿飾り雛が寄贈され、88年ぶりのお披露目である。
また三条高倉の京都文化博物館では、生涯京都に住み、京都を愛した画家吉川観方(よしかわ かんぽう)の独特の視点で蒐集された人形などが陳列され、嵯峨鳥居本の博物館さがの人形の家では有職故美に基づいて正しく考証された公家雛と道具類が見所となって展示され、鞠小路今出川の思文閣美術館では豆雛と雛道具類800品が並び繊巧なミニチュアが堪能できるようだ。


そして、堀川寺の内、旧百々御所である宝鏡寺門跡では春の特別公開「人形展100回記念 源氏物語とひいな」と題し、皇室ゆかりの人形・寺宝がお披露目されている。公開を前に瀟洒な寺院は修復工事が進められている。
ここ宝鏡寺には「人形塚」がある。秋には人形供養祭が毎年執り行われており、いつでも、郵送であっても、供養の人形が納められ、受付してもらえるのだ。
人形塚には実に愛らしい御所人形が彫り込まれていて、小生はこの人形像が大好きである。
更に、他の社寺仏閣ではお目にかかったことのないお守りが授かれるから嬉しい。
お人形さんに持たせるお守りである。 人形は古(いにしえ)より人の身替わりとなって厄除けの役割を果たしてくれていた。その身代わりのお人形さんが、吉祥のお人形となるようにとの願いが込められたお守りで、現住職の発案とのことである。


人形(ひとがた)に始まり、平安朝ではひいな遊びに興じられ、雛飾りに転じ、江戸時代ではその華美な飾りを禁止される令まで出されたお雛さま。
嵯峨人形・衣裳人形・御所人形・賀茂人形と、さまざまな種類の人形が生み出され、公家や武家の屋敷のみならず、町家の家々にも飾られた京人形に安らぎを覚えていただける弥生の月、上巳の節句をお楽しみになるまいか。


初節句で雛人形をお考えの方も、「京の雛めぐり」でじっくり目を肥やしてからお買い求めの人形の選定をされるのが得策かと。


京の雛めぐり (京都国立博物館
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/hinameguri/shoukai/index.htm


【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
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