コレステロールとか中性脂肪、体脂肪や高脂血症が気になりだす。
メタボシンドロームなどといわれ、現代病の一つとして大半の人に共通するテーマであろう。
今やベジタリアンは増え続け、珍しい存在ではなくなった。
いきおい、野菜を使った料理は注目を浴びている。
俄かに、「京のおばんざい(お番菜)」が京料理に次ぐ高級料理と錯覚する人まで現れだしている。過日、お番菜がスローフードと題して紹介されていた記事を見た。あらためてそう言わずとも、古き時代より京では脈々と生きているのだが。
おばんざいは、その歴史も長いが故にメニューも豊富だ。
しかも、じっくりと作られているものが多く、調理にもう一手間、もう一工夫との思いやりが感じられ、実に巧妙に盛り込まれている愛情料理である。
また、おばんざいの中でも、京都では食べるものと食べる日が決まっているものがあるから不思議でいて面白い。
記憶に残るもので言うと、
お一日は「小豆ご飯になますとニシン昆布」。
8のつく日は「あらめとお揚げの煮炊き合わせもの」。
15日は「小豆ご飯にいもぼう」。
月末は「おから」。
財布が空になるから語呂合わせしたのだろうか。おからは「炊く」と言わずに「炒る」と言う。これもお金が「入る」と、縁起かつぎしたものだろう。
因みに、「ニシン昆布」は干した身欠きニシンと刻み昆布を炊き合わせたもの、「あらめ」は海藻のこと、「お揚げ」は油揚げのこと、「いもぼう」は棒だらとえびいものこと、である。
それらは祖母の口癖のひとつであったが、永らくその日に口にしていないものばかりである。民間信仰を含めての言い習わしであろうから、忘れないで取り入れてゆきたい文化に思えてきた。
上段で、豊富なメニューの京のおばんざいと謳ったが、始末の良さと健康を思いやったものに、こんなのがある。
緑茶の葉を使ったおばんざいだ。
緑茶の葉とは言うものの、お茶をいただいた後の、急須に残る緑茶の茶殻が具材となる。それには、急須の中から茎の混ざっていない茶殻を普段から取り置き、密封して冷蔵庫に保存しておくことが必要である。
調理はこうだ。
まず「茶殻」に「ちりめんじやこ」を混ぜる。フライパンに入れ、酒、醤油、味醂で炒める。炒めたものに、山椒の実を混ぜ仕上げる。
好みに合わせて、具材に梅肉などを混ぜるなど工夫は多種多様である。
聞けば「なーんだ」、というようなものだが、この簡易さの中に奥深い知恵を小生は感じる。
禅の精進料理に通じるものが匂うのだ。
おばんざい料理の智恵を学ばれたい方に、二件ご案内しておこう。
一件は、「禅寺のおばんざい(女子栄養大学出版部発刊)」のタイトルで、精進料理を記された妙心寺東林院の西川玄房和尚は、毎週火曜日に、自らが指導する精進料理体験道場「添菜寮」で、料理教室を開かれている。
次は、京都祇園新橋「侘助(わびすけ)」でおばんざいを堪能させてくれていた川西ふみ子さんは、東京六本木で「京菜かわにし」の女将となり、「おばんざい塾」の塾長として、彼の地で京の味と技を伝承されている。
各々に、旬のもつ味を最大限に生かし、自然の恵みを無駄なく調理し、その全
てを心とともに届ける技を伝授いただけるであろう。
「たかかおばんざい、されどおばんざい。」
今夜は近場で気軽に、「おばんざい」を突っついて帰られてはいかがか。
木屋町三条上る「めなみ」にするか、団栗橋まで下って「味ろっこん」か、北なら「
萬 川」(北区上賀茂菖蒲町56-3)、美味い上に0:00までが良い。
妙心寺東林院の精進料理教室
(京都のイラストレーター小酒句未果のウェブサイト)
http://www004.upp.so-net.ne.jp/kosake/kyoto/kyoto_tourinin.html
玄房和尚のヘルシー精進 (京都新聞社)
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/rensai/healthy/index.html
京の女将直伝 おばんざい塾 (京菜かわにし)
http://www.obanzai.jp/jyuku.htm
京素材を使ったおばんざいレシピ (ボブとアンジー)
http://www.bob-an.com/recipe/English/Kyotodis/kyotodish.html
【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
メタボシンドロームなどといわれ、現代病の一つとして大半の人に共通するテーマであろう。
今やベジタリアンは増え続け、珍しい存在ではなくなった。
いきおい、野菜を使った料理は注目を浴びている。
俄かに、「京のおばんざい(お番菜)」が京料理に次ぐ高級料理と錯覚する人まで現れだしている。過日、お番菜がスローフードと題して紹介されていた記事を見た。あらためてそう言わずとも、古き時代より京では脈々と生きているのだが。
おばんざいは、その歴史も長いが故にメニューも豊富だ。
しかも、じっくりと作られているものが多く、調理にもう一手間、もう一工夫との思いやりが感じられ、実に巧妙に盛り込まれている愛情料理である。
また、おばんざいの中でも、京都では食べるものと食べる日が決まっているものがあるから不思議でいて面白い。
記憶に残るもので言うと、
お一日は「小豆ご飯になますとニシン昆布」。
8のつく日は「あらめとお揚げの煮炊き合わせもの」。
15日は「小豆ご飯にいもぼう」。
月末は「おから」。
財布が空になるから語呂合わせしたのだろうか。おからは「炊く」と言わずに「炒る」と言う。これもお金が「入る」と、縁起かつぎしたものだろう。
因みに、「ニシン昆布」は干した身欠きニシンと刻み昆布を炊き合わせたもの、「あらめ」は海藻のこと、「お揚げ」は油揚げのこと、「いもぼう」は棒だらとえびいものこと、である。
それらは祖母の口癖のひとつであったが、永らくその日に口にしていないものばかりである。民間信仰を含めての言い習わしであろうから、忘れないで取り入れてゆきたい文化に思えてきた。
上段で、豊富なメニューの京のおばんざいと謳ったが、始末の良さと健康を思いやったものに、こんなのがある。
緑茶の葉を使ったおばんざいだ。
緑茶の葉とは言うものの、お茶をいただいた後の、急須に残る緑茶の茶殻が具材となる。それには、急須の中から茎の混ざっていない茶殻を普段から取り置き、密封して冷蔵庫に保存しておくことが必要である。
調理はこうだ。
まず「茶殻」に「ちりめんじやこ」を混ぜる。フライパンに入れ、酒、醤油、味醂で炒める。炒めたものに、山椒の実を混ぜ仕上げる。
好みに合わせて、具材に梅肉などを混ぜるなど工夫は多種多様である。
聞けば「なーんだ」、というようなものだが、この簡易さの中に奥深い知恵を小生は感じる。
禅の精進料理に通じるものが匂うのだ。
おばんざい料理の智恵を学ばれたい方に、二件ご案内しておこう。
一件は、「禅寺のおばんざい(女子栄養大学出版部発刊)」のタイトルで、精進料理を記された妙心寺東林院の西川玄房和尚は、毎週火曜日に、自らが指導する精進料理体験道場「添菜寮」で、料理教室を開かれている。
次は、京都祇園新橋「侘助(わびすけ)」でおばんざいを堪能させてくれていた川西ふみ子さんは、東京六本木で「京菜かわにし」の女将となり、「おばんざい塾」の塾長として、彼の地で京の味と技を伝承されている。
各々に、旬のもつ味を最大限に生かし、自然の恵みを無駄なく調理し、その全
てを心とともに届ける技を伝授いただけるであろう。
「たかかおばんざい、されどおばんざい。」
今夜は近場で気軽に、「おばんざい」を突っついて帰られてはいかがか。
木屋町三条上る「めなみ」にするか、団栗橋まで下って「味ろっこん」か、北なら「
萬 川」(北区上賀茂菖蒲町56-3)、美味い上に0:00までが良い。
妙心寺東林院の精進料理教室
(京都のイラストレーター小酒句未果のウェブサイト)
http://www004.upp.so-net.ne.jp/kosake/kyoto/kyoto_tourinin.html
玄房和尚のヘルシー精進 (京都新聞社)
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/rensai/healthy/index.html
京の女将直伝 おばんざい塾 (京菜かわにし)
http://www.obanzai.jp/jyuku.htm
京素材を使ったおばんざいレシピ (ボブとアンジー)
http://www.bob-an.com/recipe/English/Kyotodis/kyotodish.html
【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
5143-050607-夏
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