京の北部に足を運ぶと、天地の恵みにまだまだ出逢える。
だから、休日の晴天の日には、洛北の峠を越すのが楽しみになる。
その成果は食卓に一品が増え、いきおい山菜摘みの話で賑わう。
今年の山菜摘みは3月の「土筆(つくし)」に始まった。
土筆の摘み頃は、その穂先に胞子の白い粉が出る前の固めのうちが良い。穂先の苦味が味わえるからである。開いてしまうと、味に土筆の個性を失ってしまう。
野山で土筆を見つけ、摘み取るのはいとも簡単である。大変なのは摘み取ってからだ。茎の袴を取り除くのは大層面倒で、一本の茎にある数個の袴は、爪を立てないと容易に外せないのである。摘み取った土筆の袴の始末がし終わる頃には、灰汁(あく)で爪や指先が黒く染まっているのだ。少々洗った位では、これがまた簡単には取れないのだ
袴を外した土筆は、さっと湯通しして、柚や酢で和えるのが小生の口に合う。盛る器を選び少量を盛れば、食卓が高級京料亭に早替わりという具合だった。醤油出汁で、お揚げと煮込んだ土筆をいだくと祖母を思い出す。炊きたてのご飯にぴったりの「おばんざい」である。ほろ苦い素朴さが美味いと分かったのは祖母が亡くなってからである。
翌四月、贈答でいただいた朝掘り筍(たけのこ)は有難かった。野山に出ても、勝手に竹林に入ることはまかりならぬことだ。窃盗罪である。
白子筍を茹でて木の芽和えにし山椒の葉をのせた。お揚げとじゃことの炊き合わせもした。炊き込みの筍ご飯は言うに及ばず、衣をつけて油で揚げる、筍カツも絶品の味だった。
早春のふきのとうを逸していたので、野蕗(のぶき)を週末に摘みにいった。
川原に出ると、清流が音を立てて流れているのが聞こえてきた。あるわあるわ。
野蕗だけではない。辺りを見渡すと、同色の緑の中に獲物が浮かびあがってくる。
「蕨(わらび)!」「みつば!」「芹(せり)!」
アイシャッターは各々のポイントに、焦点を即座に捉えた。自分の目が、まるでオートフォーカスのカメラのように思える。川原から草むら、その先の土手の斜面にかけ、その獲物を捉える精度に、近頃の目の疎さが嘘のように思えた。
短い間に充分過ぎる量が取れたので、調理までの面倒な作業を綺麗な沢で済ませることにした。
ウド、タラの芽、ぜんまい、こごみ、行者ニンニクなど摘みたいものはまだまだある。
山菜摘みのポイント情報を集め、次週以降の休日計画を立て直すことにした。
酸性雨や護岸コンクリートの所為で、山菜などの数や種類はかなり減ってきている。見つけるのも幼少の頃に比べると容易くなくなった。
そこで、どこの野山でも簡単に取れるものを教えよう。虎杖(いたどり)だ。
ご存知だろうか。散策の途中に水分の補給をしたいとき、根元辺りで折って周りの皮を茎の方向に捲(めく)り、丸かじりする。シャキシャキとして広がる水分の酸っぱさに身が締まる。持ち合わせていれば塩を付けてもなかなかいける。調子に乗ってあまり沢山食べると、お腹が痛くなるから注意してもらいたい。
これを持ち帰って「イタドリ料理」にトライしてみてはどうか。
いたどりの皮を剥き、節を押しつぶす。沸騰させた湯でよくゆがく。湯がければすぐに水にひたす。酸味を取るため2日間程水を換えて浸けておくと良い。
これで具材は出来たので、好きなように工夫して召し上がれ。
簡単なおばんざいにするなら、イタドリを人差し指位に切り、シーチキンと和えて煮物にすると美味しく食べられる。塩漬けすれば保存食である。
6月1日は貴船神社(左京区鞍馬貴船町)にて「いたどり祭(春の貴船祭)」が執り行われる。
この例祭の折、神職が山中に繁茂するタデ科の「いたどり」を摘むことを競いあう。このことから「いたどり祭」が通称となっている。貴船は京の奥座敷として知られるところだが、鴨川の源流があり、上流が賀茂川、その上流が貴船川で、貴船神社の奥宮には細い小さな地下水の湧き出るところがあり、それを見ることもできる。
貴船でいたどりを生かじりされてみてはどうか。
貴船祭ビデオ
http://kyoto.kibune.or.jp/video/
貴船神社
http://www.kibune.or.jp/jinja/
山菜の料理方法(田舎情報 三朝町役場)
http://www.town.misasa.tottori.jp/site/page/allindex/nouson/ajiwai/taste/
山菜料理いろいろ(お気楽な写真館)
http://soneta.hmc6.net/r-sansai.htm
イタドリ
http://plaza.rakuten.co.jp/yuuyuu030617/30005
春の京料理・竹の子/山菜 (京料理 田鶴)
http://www.tazuru.com/contents/kyoryori/haru.html
旬のおばんざい (いろめし黒川)
http://www.joho-kyoto.or.jp/~furusato/brand_shop/shop/kurokawa-1.html
【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
だから、休日の晴天の日には、洛北の峠を越すのが楽しみになる。
その成果は食卓に一品が増え、いきおい山菜摘みの話で賑わう。
今年の山菜摘みは3月の「土筆(つくし)」に始まった。
土筆の摘み頃は、その穂先に胞子の白い粉が出る前の固めのうちが良い。穂先の苦味が味わえるからである。開いてしまうと、味に土筆の個性を失ってしまう。
野山で土筆を見つけ、摘み取るのはいとも簡単である。大変なのは摘み取ってからだ。茎の袴を取り除くのは大層面倒で、一本の茎にある数個の袴は、爪を立てないと容易に外せないのである。摘み取った土筆の袴の始末がし終わる頃には、灰汁(あく)で爪や指先が黒く染まっているのだ。少々洗った位では、これがまた簡単には取れないのだ
袴を外した土筆は、さっと湯通しして、柚や酢で和えるのが小生の口に合う。盛る器を選び少量を盛れば、食卓が高級京料亭に早替わりという具合だった。醤油出汁で、お揚げと煮込んだ土筆をいだくと祖母を思い出す。炊きたてのご飯にぴったりの「おばんざい」である。ほろ苦い素朴さが美味いと分かったのは祖母が亡くなってからである。
翌四月、贈答でいただいた朝掘り筍(たけのこ)は有難かった。野山に出ても、勝手に竹林に入ることはまかりならぬことだ。窃盗罪である。
白子筍を茹でて木の芽和えにし山椒の葉をのせた。お揚げとじゃことの炊き合わせもした。炊き込みの筍ご飯は言うに及ばず、衣をつけて油で揚げる、筍カツも絶品の味だった。
早春のふきのとうを逸していたので、野蕗(のぶき)を週末に摘みにいった。
川原に出ると、清流が音を立てて流れているのが聞こえてきた。あるわあるわ。
野蕗だけではない。辺りを見渡すと、同色の緑の中に獲物が浮かびあがってくる。
「蕨(わらび)!」「みつば!」「芹(せり)!」
アイシャッターは各々のポイントに、焦点を即座に捉えた。自分の目が、まるでオートフォーカスのカメラのように思える。川原から草むら、その先の土手の斜面にかけ、その獲物を捉える精度に、近頃の目の疎さが嘘のように思えた。
短い間に充分過ぎる量が取れたので、調理までの面倒な作業を綺麗な沢で済ませることにした。
ウド、タラの芽、ぜんまい、こごみ、行者ニンニクなど摘みたいものはまだまだある。
山菜摘みのポイント情報を集め、次週以降の休日計画を立て直すことにした。
酸性雨や護岸コンクリートの所為で、山菜などの数や種類はかなり減ってきている。見つけるのも幼少の頃に比べると容易くなくなった。
そこで、どこの野山でも簡単に取れるものを教えよう。虎杖(いたどり)だ。
ご存知だろうか。散策の途中に水分の補給をしたいとき、根元辺りで折って周りの皮を茎の方向に捲(めく)り、丸かじりする。シャキシャキとして広がる水分の酸っぱさに身が締まる。持ち合わせていれば塩を付けてもなかなかいける。調子に乗ってあまり沢山食べると、お腹が痛くなるから注意してもらいたい。
これを持ち帰って「イタドリ料理」にトライしてみてはどうか。
いたどりの皮を剥き、節を押しつぶす。沸騰させた湯でよくゆがく。湯がければすぐに水にひたす。酸味を取るため2日間程水を換えて浸けておくと良い。
これで具材は出来たので、好きなように工夫して召し上がれ。
簡単なおばんざいにするなら、イタドリを人差し指位に切り、シーチキンと和えて煮物にすると美味しく食べられる。塩漬けすれば保存食である。
6月1日は貴船神社(左京区鞍馬貴船町)にて「いたどり祭(春の貴船祭)」が執り行われる。
この例祭の折、神職が山中に繁茂するタデ科の「いたどり」を摘むことを競いあう。このことから「いたどり祭」が通称となっている。貴船は京の奥座敷として知られるところだが、鴨川の源流があり、上流が賀茂川、その上流が貴船川で、貴船神社の奥宮には細い小さな地下水の湧き出るところがあり、それを見ることもできる。
貴船でいたどりを生かじりされてみてはどうか。
貴船祭ビデオ
http://kyoto.kibune.or.jp/video/
貴船神社
http://www.kibune.or.jp/jinja/
山菜の料理方法(田舎情報 三朝町役場)
http://www.town.misasa.tottori.jp/site/page/allindex/nouson/ajiwai/taste/
山菜料理いろいろ(お気楽な写真館)
http://soneta.hmc6.net/r-sansai.htm
イタドリ
http://plaza.rakuten.co.jp/yuuyuu030617/30005
春の京料理・竹の子/山菜 (京料理 田鶴)
http://www.tazuru.com/contents/kyoryori/haru.html
旬のおばんざい (いろめし黒川)
http://www.joho-kyoto.or.jp/~furusato/brand_shop/shop/kurokawa-1.html
【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
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