舞妓さんといえば「だらりの帯」や「祇園小唄」を思い浮かべる方が多いだろう。
京都には舞妓さん、芸妓さんのいる花街が五つある。
「京都五花街」とは、「祇園甲部・祇園乙部・宮川町・上七軒・先斗町」である。
そして、花街にはそれぞれ「歌舞練場」というものがある。「歌舞練場」とは歌舞伎の館ではない。 字の如く、芸妓舞妓さんの踊りの練習場として建てられたものである。
舞妓さんをじっくりと見たいというなら、これからの季節の歌舞練場がうってつけである。
四月の声を聞くと、建仁寺の北東にある「祇園甲部歌舞練場」では、「都をどり」が始まる。一ヶ月間に亘る公演で、京舞井上流の舞と芸舞妓さんを堪能させてもらえる。桜見とともに春を満喫できる塩梅ではないか。
「都をどり」の初回は、明治5年の京都博覧会のイベントとして行われ、京都の歴史からすると意外に新しいものである。しかしながら、既に百年の歳月を重ねている。
「都をどりは ヨイヤサァ」との、開演の掛け声で花道を進む姿は、舞踊の解らぬ者も胸踊る華やかさが感じられるものである。
他の花街でも京名物である踊りの会が、都をどりの開催中の四月に行われる。
「宮川町歌舞練場」での「京おどり」と、「上七軒歌舞練場」での「北野をどり」とである。
都をどりが終わり翌5月になると、「先斗町歌舞練場」で「鴨川をどり」の尾上流を、また秋の11月になると、「祇園会館」において「祇園をどり」の藤間流の舞を楽しむことができる。
観覧の前後に一息つくには、歌舞練場に設けられたお茶席を利用すると良い。
お菓子の載っているお皿が頂いて帰れるからである。それも銘入りのお皿で、観覧の良い記念となる。五花街の踊りの会の銘入りが全部揃うと、ちょっとた通気取りで、自慢の品となる。
もっと身近で話をし、酒食を取り、お座敷で舞を楽しむなら、料亭に呼んで貰う手がある。
「立方(たちかた)のねえさん」と「地方(じかた)のねえさん」と「舞妓(まいこ)ちゃん」の三人でやってくる。
因みに、舞を踊る芸妓さんを「立方」、三味線や笛など鳴り物を演る芸妓さんを「地方」と呼ぶ。
「舞妓さん」は、現在では15歳から20歳までで、20歳になると、花街に残るか去るか決めなければならない。残るとなれば、「襟替え」をして芸妓さんとなる。
昔は10歳からが「見世出し」と呼ばれ、所謂舞妓としてのデビューであった。それまでは「おちょぼ(仕込み)」と呼ばれ、舞妓になるまでの間、舞などの習い事や立ち振る舞いの躾を、「置屋」に住み込んで修行していた。
勿論、現在も一人前の芸妓になるまでは、「置屋」に住み込み、一切の面倒を見て貰うことは変わりない。
更に、旦那さん気取りで、浮世離れした京の文化に浸るとなれば、貸座敷屋である「お茶屋さん」に出入りしなくてはならない。
「一見さんお断り」の「お茶屋さん」も、信頼できる常連客の紹介であれば、座敷に上げてくれる。
そして、「置屋」から「芸妓・舞妓」が、「仕出し屋」から「小料理・京料理」がやってくる。「お茶屋さんと置屋」を兼ねているところも多いが、「置屋」とは直接やりとりができない。
一度座敷に上れば、通い詰めて「舞妓ちゃん」ともお友達に成れるし、「地方のねえさん」に三味線や太鼓を習い、長唄なども覚えることにもなる。
「おにいーさん」と呼ばれ、悦に入るのである。
お座敷に上ると、「半だら」さんに逢うことがある。
舞妓さんの帯の半分の長さの帯で見分けがつけられる。「半だら」とは、お座敷での実地研修中の「おちょぼ」さんのことである。「見世出し」も決まり、お座敷の雰囲気を掴むために、「お茶屋さん」に呼ばれた芸舞妓の雑務を担っている。
この頃には、引いてもらう「お姉さん(芸妓)」も名前も決まっている。「引いてもらう」とは後見人になって貰い、その芸妓の名を一文字貰うことになる。
勿論、「お茶屋さん」では「舞妓ちゃん」なしに酒食のみで商談することもできる。手始めに、お茶屋さんで一献やって、「おかあさん」とたっぷり話をしてからという向きも良いかもしれない。
女性が15歳で夜間の接客となると、今や世間では児童福祉法違反・労働基準法違反だと、許されないはずである。
しかし、ここ京都の掟(条例)では、「舞妓」に限り超法規である。
都をどり (祇園バーチャル観光)
http://www.kyoto-gion.jp/barcharu/miyako/odori.html
北野をどり(上七軒歌舞練場)
http://www.maiko3.com/
鴨川をどり (先斗町歌舞練場)
http://www1.odn.ne.jp/~adw58490/
京おどり(宮川町小糸さんファンクラブ)
http://www.e-koito.com/kouen/n-home_o.htm
ホール(歌舞練場)探訪 (京滋舞台芸術事業協同組合)
http://www1.neweb.ne.jp/wa/keiji-kyo/document/7/tanbou.htm
花街 (祇園リンク集)
http://kyoto.pro.tok2.com/sensu/apeboard_plus.cgi
【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
京都には舞妓さん、芸妓さんのいる花街が五つある。
「京都五花街」とは、「祇園甲部・祇園乙部・宮川町・上七軒・先斗町」である。
そして、花街にはそれぞれ「歌舞練場」というものがある。「歌舞練場」とは歌舞伎の館ではない。 字の如く、芸妓舞妓さんの踊りの練習場として建てられたものである。
舞妓さんをじっくりと見たいというなら、これからの季節の歌舞練場がうってつけである。
四月の声を聞くと、建仁寺の北東にある「祇園甲部歌舞練場」では、「都をどり」が始まる。一ヶ月間に亘る公演で、京舞井上流の舞と芸舞妓さんを堪能させてもらえる。桜見とともに春を満喫できる塩梅ではないか。
「都をどり」の初回は、明治5年の京都博覧会のイベントとして行われ、京都の歴史からすると意外に新しいものである。しかしながら、既に百年の歳月を重ねている。
「都をどりは ヨイヤサァ」との、開演の掛け声で花道を進む姿は、舞踊の解らぬ者も胸踊る華やかさが感じられるものである。
他の花街でも京名物である踊りの会が、都をどりの開催中の四月に行われる。
「宮川町歌舞練場」での「京おどり」と、「上七軒歌舞練場」での「北野をどり」とである。
都をどりが終わり翌5月になると、「先斗町歌舞練場」で「鴨川をどり」の尾上流を、また秋の11月になると、「祇園会館」において「祇園をどり」の藤間流の舞を楽しむことができる。
観覧の前後に一息つくには、歌舞練場に設けられたお茶席を利用すると良い。
お菓子の載っているお皿が頂いて帰れるからである。それも銘入りのお皿で、観覧の良い記念となる。五花街の踊りの会の銘入りが全部揃うと、ちょっとた通気取りで、自慢の品となる。
もっと身近で話をし、酒食を取り、お座敷で舞を楽しむなら、料亭に呼んで貰う手がある。
「立方(たちかた)のねえさん」と「地方(じかた)のねえさん」と「舞妓(まいこ)ちゃん」の三人でやってくる。
因みに、舞を踊る芸妓さんを「立方」、三味線や笛など鳴り物を演る芸妓さんを「地方」と呼ぶ。
「舞妓さん」は、現在では15歳から20歳までで、20歳になると、花街に残るか去るか決めなければならない。残るとなれば、「襟替え」をして芸妓さんとなる。
昔は10歳からが「見世出し」と呼ばれ、所謂舞妓としてのデビューであった。それまでは「おちょぼ(仕込み)」と呼ばれ、舞妓になるまでの間、舞などの習い事や立ち振る舞いの躾を、「置屋」に住み込んで修行していた。
勿論、現在も一人前の芸妓になるまでは、「置屋」に住み込み、一切の面倒を見て貰うことは変わりない。
更に、旦那さん気取りで、浮世離れした京の文化に浸るとなれば、貸座敷屋である「お茶屋さん」に出入りしなくてはならない。
「一見さんお断り」の「お茶屋さん」も、信頼できる常連客の紹介であれば、座敷に上げてくれる。
そして、「置屋」から「芸妓・舞妓」が、「仕出し屋」から「小料理・京料理」がやってくる。「お茶屋さんと置屋」を兼ねているところも多いが、「置屋」とは直接やりとりができない。
一度座敷に上れば、通い詰めて「舞妓ちゃん」ともお友達に成れるし、「地方のねえさん」に三味線や太鼓を習い、長唄なども覚えることにもなる。
「おにいーさん」と呼ばれ、悦に入るのである。
お座敷に上ると、「半だら」さんに逢うことがある。
舞妓さんの帯の半分の長さの帯で見分けがつけられる。「半だら」とは、お座敷での実地研修中の「おちょぼ」さんのことである。「見世出し」も決まり、お座敷の雰囲気を掴むために、「お茶屋さん」に呼ばれた芸舞妓の雑務を担っている。
この頃には、引いてもらう「お姉さん(芸妓)」も名前も決まっている。「引いてもらう」とは後見人になって貰い、その芸妓の名を一文字貰うことになる。
勿論、「お茶屋さん」では「舞妓ちゃん」なしに酒食のみで商談することもできる。手始めに、お茶屋さんで一献やって、「おかあさん」とたっぷり話をしてからという向きも良いかもしれない。
女性が15歳で夜間の接客となると、今や世間では児童福祉法違反・労働基準法違反だと、許されないはずである。
しかし、ここ京都の掟(条例)では、「舞妓」に限り超法規である。
都をどり (祇園バーチャル観光)
http://www.kyoto-gion.jp/barcharu/miyako/odori.html
北野をどり(上七軒歌舞練場)
http://www.maiko3.com/
鴨川をどり (先斗町歌舞練場)
http://www1.odn.ne.jp/~adw58490/
京おどり(宮川町小糸さんファンクラブ)
http://www.e-koito.com/kouen/n-home_o.htm
ホール(歌舞練場)探訪 (京滋舞台芸術事業協同組合)
http://www1.neweb.ne.jp/wa/keiji-kyo/document/7/tanbou.htm
花街 (祇園リンク集)
http://kyoto.pro.tok2.com/sensu/apeboard_plus.cgi
【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
5174-050322-4月
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