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車で花見に出かけるのは渋滞と駐車場の空車待ちで大変である。
ところが、ウィーデーに京都の郊外で花見をするなら、意外と快適である。
先週は満開盛りの枝垂れ桜を、「地蔵禅院(曹洞宗地蔵院)」に訪ねた。
向かうは綴喜郡井手町である。
国道24号線を目的地へとひたすら走ることになるのだが、今回は堀川通から油小路を南下し、油小路十条にある上鳥羽料金所から阪神高速8号京都線に乗ることにした。
走りなれない高速道路は乗り継ぎに不安が付きまとうものである。巨椋池インターチェンジの立体の交錯は、小生にとってはもはや京都ではなく、宇宙ステーションのようである。
何れ、第二京阪、京奈和、阪神高速京都線、京滋バイパスはジョイントされ、乗り継ぎが全面可能になるだろうが、進路の選択を誤ると厄介なことになりそうである。
それに比べて、木津川沿いに土手の上を走る昔ながらの24号線はのんびりと安心して走ることができた。
玉水に入って、地蔵禅院の案内看板を見つけた。
この辺りを流れる玉川は京都と奈良を繋ぐ川で、環境省の「平成の名水百選」に選ばれている。
この川沿いにある約500本の桜並木を見ながら東へ上り坂をゆくと、程なく地蔵禅院に到着した。
駐車場に車を止めて歩き出すと、斜面に枝振りの良い枝垂れ桜の古木三本と桃の大木が見える。
小高い山にある地蔵禅院への登り道は、畑の傍を通り石段が積まれている。
畑を見下ろすと菜の花が・・・、みかん畑が・・・竹やぶが、緩やかな春の光りを浴びている。
鮮やかな色彩に降り注ぐ春の日差しを追い、視線を遠くにやると、里の風景が広がっていた。
里には木津川が悠々と横たわり、春霞がかかるパノラマは時の経つのを忘れさせる。遠くに見える峰は金剛山に葛城山であろうか。
時折吹き抜ける風が枝垂れ桜の枝を揺らせ頬を撫でると、悠久の大自然と歴史が思い起こさせられ、日本の原風景を見ていることに気づく。
石段の道に石灯籠と鳥居が見えるが、地蔵禅院のさらに山手にある玉津岡神社の参詣道と共用されている。
地蔵禅院の枝垂れ桜は見晴らし台にある鐘楼の傍に立つ老木であった。
寺伝によると、地蔵禅院の枝垂れ桜は享保12年(1727年)に植樹されたもので、280歳を超えるものである。その先代の親木からは、この地蔵禅院の枝垂れ桜と、円山公園にある祗園枝垂れ桜の先代が株分けされたのであるという。
ということは、株分けされた先代の初代祗園枝垂れ桜は昭和22年(1947年)に枯死したが、昭和3年(1928年)に初代の種子で植えられた現在の二代目祗園枝垂れ桜は、地蔵禅院の枝垂れ桜の甥っ子にあたることになる。
鐘楼下の畑には二本の枝垂れ桜がある。
いずれが三代目地蔵禅院の枝垂れ桜になるのか判らぬことであるが、二代目の子桜として植樹されているとのことである。
子桜とはいえ既に百歳を越す。
従姉妹にあたる祗園枝垂れ桜よりも年上である。
枝振りを見ると、何処がよく似ているように見えた。
すっかりと長居をしてしまい、正午を過ぎた。
境内に檀家さんの手作りの弁当が販売されている。
「筍姿ずし」と「筍ごはん」である。
この薮で採れた筍だという。見晴らしのよい高台のベンチで頂くことにした。
一本の筍の半身がどっかりと乗っかっている。
田舎仕立ての味わいが、この場所にぴったりである。
地蔵禅院を後に車を西山に向けて走らせた。
善峰寺、光明寺、十輪寺、金蔵寺にするか、大原野神社、正方寺、勝持寺、願徳寺にするかと、時間の都合で迷った。
大原野神社の遅咲き千眼桜は下見になっても、勝持寺の早咲き西行桜は今日を外すと見られないかもしれない。
まずは、勝持寺の駐車場に車を置き、徒歩で後者の四ヶ寺を巡ることにした。
時間の限り見て回り、夜は長岡天神の錦水亭で朝掘り筍を頂き、八丈が池のライトアップを見て帰るという、俄かな計画である。
到着早々に、勝持寺の拝観を急いだ。一目散に西行桜に向かった。
西行桜も鐘楼の傍に咲いている背高い枝垂れ桜である。
地面に近い枝垂れの枝先は若葉を付け出していたが、鐘楼の屋根より上は満開見頃である。
境内にある約500本の桜は、これから満開に向かうところなので、もう一度訪ねても良さそうである。
西行桜は例年より少し早い若葉の芽吹きだったので、今日来ておいて良かったと胸を撫で下ろした。
ところで、今年も昨年に続いて、例年より桜の開花の時期が早まっている。
開花予測が当たらないばかりか、クイズまで行われている。
更に、今年は寒の戻りが長く、枝垂れ桜の満開見頃の時期が長く続いた。
桜の旬が長いことは小生にとっては実に有難いことである。
しかし、もし地球温暖化による異常気象などの影響であるなら。喜んでばかりはいられない。
それは自然が発する警告とも考えられるからである。
阪神高速8号京都線
http://www.kyoto.hanshin-exp.co.jp/
桜情報 開花予想
http://tenki.jp/sakura/expectation
【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
ところが、ウィーデーに京都の郊外で花見をするなら、意外と快適である。
先週は満開盛りの枝垂れ桜を、「地蔵禅院(曹洞宗地蔵院)」に訪ねた。
向かうは綴喜郡井手町である。
国道24号線を目的地へとひたすら走ることになるのだが、今回は堀川通から油小路を南下し、油小路十条にある上鳥羽料金所から阪神高速8号京都線に乗ることにした。
走りなれない高速道路は乗り継ぎに不安が付きまとうものである。巨椋池インターチェンジの立体の交錯は、小生にとってはもはや京都ではなく、宇宙ステーションのようである。
何れ、第二京阪、京奈和、阪神高速京都線、京滋バイパスはジョイントされ、乗り継ぎが全面可能になるだろうが、進路の選択を誤ると厄介なことになりそうである。
それに比べて、木津川沿いに土手の上を走る昔ながらの24号線はのんびりと安心して走ることができた。
玉水に入って、地蔵禅院の案内看板を見つけた。
この辺りを流れる玉川は京都と奈良を繋ぐ川で、環境省の「平成の名水百選」に選ばれている。
この川沿いにある約500本の桜並木を見ながら東へ上り坂をゆくと、程なく地蔵禅院に到着した。
駐車場に車を止めて歩き出すと、斜面に枝振りの良い枝垂れ桜の古木三本と桃の大木が見える。
小高い山にある地蔵禅院への登り道は、畑の傍を通り石段が積まれている。
畑を見下ろすと菜の花が・・・、みかん畑が・・・竹やぶが、緩やかな春の光りを浴びている。
鮮やかな色彩に降り注ぐ春の日差しを追い、視線を遠くにやると、里の風景が広がっていた。
里には木津川が悠々と横たわり、春霞がかかるパノラマは時の経つのを忘れさせる。遠くに見える峰は金剛山に葛城山であろうか。
時折吹き抜ける風が枝垂れ桜の枝を揺らせ頬を撫でると、悠久の大自然と歴史が思い起こさせられ、日本の原風景を見ていることに気づく。
石段の道に石灯籠と鳥居が見えるが、地蔵禅院のさらに山手にある玉津岡神社の参詣道と共用されている。
地蔵禅院の枝垂れ桜は見晴らし台にある鐘楼の傍に立つ老木であった。
寺伝によると、地蔵禅院の枝垂れ桜は享保12年(1727年)に植樹されたもので、280歳を超えるものである。その先代の親木からは、この地蔵禅院の枝垂れ桜と、円山公園にある祗園枝垂れ桜の先代が株分けされたのであるという。
ということは、株分けされた先代の初代祗園枝垂れ桜は昭和22年(1947年)に枯死したが、昭和3年(1928年)に初代の種子で植えられた現在の二代目祗園枝垂れ桜は、地蔵禅院の枝垂れ桜の甥っ子にあたることになる。
鐘楼下の畑には二本の枝垂れ桜がある。
いずれが三代目地蔵禅院の枝垂れ桜になるのか判らぬことであるが、二代目の子桜として植樹されているとのことである。
子桜とはいえ既に百歳を越す。
従姉妹にあたる祗園枝垂れ桜よりも年上である。
枝振りを見ると、何処がよく似ているように見えた。
すっかりと長居をしてしまい、正午を過ぎた。
境内に檀家さんの手作りの弁当が販売されている。
「筍姿ずし」と「筍ごはん」である。
この薮で採れた筍だという。見晴らしのよい高台のベンチで頂くことにした。
一本の筍の半身がどっかりと乗っかっている。
田舎仕立ての味わいが、この場所にぴったりである。
地蔵禅院を後に車を西山に向けて走らせた。
善峰寺、光明寺、十輪寺、金蔵寺にするか、大原野神社、正方寺、勝持寺、願徳寺にするかと、時間の都合で迷った。
大原野神社の遅咲き千眼桜は下見になっても、勝持寺の早咲き西行桜は今日を外すと見られないかもしれない。
まずは、勝持寺の駐車場に車を置き、徒歩で後者の四ヶ寺を巡ることにした。
時間の限り見て回り、夜は長岡天神の錦水亭で朝掘り筍を頂き、八丈が池のライトアップを見て帰るという、俄かな計画である。
到着早々に、勝持寺の拝観を急いだ。一目散に西行桜に向かった。
西行桜も鐘楼の傍に咲いている背高い枝垂れ桜である。
地面に近い枝垂れの枝先は若葉を付け出していたが、鐘楼の屋根より上は満開見頃である。
境内にある約500本の桜は、これから満開に向かうところなので、もう一度訪ねても良さそうである。
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更に、今年は寒の戻りが長く、枝垂れ桜の満開見頃の時期が長く続いた。
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それは自然が発する警告とも考えられるからである。
阪神高速8号京都線
http://www.kyoto.hanshin-exp.co.jp/
桜情報 開花予想
http://tenki.jp/sakura/expectation
【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
5228-090407-春
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