芥子と胡麻、肉桂を入れた求肥を砂糖の中で一日寝かし、丸い小石のような「雁食」が出来上がる。戦後、先代が残した店と菓子の製法を受け継いだご主人。「たくさんあると美味しいもんも、分からんようになる」と、まとめ買いする客にも小さな箱をすすめてしまう。それがこの店の姿勢だ。店の方から声を出して広める事は決してないが、口伝にこの店を知る昔から、遠方からの客は多い。だが当代で暖簾が降ろされる事を知る客はどれほどだろうか。
ご主人の山本さんは「何でもやらなあかん時代」、和菓子屋はもちろんパン製造店にも勤めた。今は奥さんとお姉さんの三人で菓子作りを助け合う
5277-03091001-