箱を開けた瞬間、思わずため息が漏れる。華やか、雅、可愛らしい…、「つまみ寿司」に冠する形容詞は繊細な和菓子を愛でる時のそれに近い。まさに「お菓子のようなおもたせの品を」の思いから柏井順子さんと娘の梓さんが作り上げた一折は、京風家庭料理の店「花梓侘」の分店、ここ一店だけに委られる。創作の原点は柏井家の食卓に度々上っていた「手毬寿司」。江戸前の基本形に京素材の装いを重ねた姿は、たった一つ添えられる手作りの和菓子さえ特別に感じさせない「計画通りの出来映え」だ。
仕込みから調理までを一手に引き受ける店長・柏井梓さん。
は. 店内の場合は、赤出し付きのつまみ寿司単品のほか、前菜からデザートまで含むコース2500円〜が用意されている