たとえて言うならかち割り氷か。限りなく無味に近い寒天を、甘くふっくら炊きあげた三種の豆をアクセントにいただく「京しぐれ」。「暑い時にのどごしの涼しさを感じて欲しい。あとに残ることのない、空気のような爽やかさを」と言うそれは押しつけず、風雅が器の上に舞うようだ。下鴨の地にひっそりと存する店空間には、定型の進物は見あたらない。先様が「二人暮らしだから少し日持ちするものを…」「黒豆がお好きやから…」と、贈る相手を思いながら組み合わせるのだ。頭に思い描くことから始まる、贈りもの。本来の姿はそこにあったと、思い出させてくれるところ。
「お菓子は単におなかをふくらすもん、っていう時代は過ぎた。ロケーションと合わせて愛でる。それもひとつの在り方では」とも。体現すべく趣に富んだ店内では、訪れる人すべてに抹茶と菓子を供し、体感を促す
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