寿司屋はもとより料理屋までもが我こそは…と作り商う鯖寿司は、京名物として揺るぎない。その鯖寿司、噂にもれ聞くほど真の姿を確かめたくなるのも、また人情だが、「それなら1本」と思っても、「かわもと」ではいきなり取り寄せを望んではならない。さらにそれを、また祇園の一見拒否か!と憤慨するのも間違いだ。「かわもと」の店自体は一見OK。ただその味の独特さゆえに「店で実際に好き嫌いを確かめてもろてから」しか売れないのである。だがいざファンとなった客には、大将ははるばる東京までも鯖寿司を届けに行く。作り手自ら「おもたせ」…いや「お手もち」を携えて。
混雑したらサッと退く。鯖寿司は必ず最後のシメで。かわもとには様々なルールがある。「俺、ヘンコやからな」と笑う川本一夫さん。
小浜から入れる生の鯖は、実に「なまなましいやろ?」。だが酢の味しかしないような鯖寿司よりも、ずっと野趣が生きている
5290-03091601-