京都になじみのない人こそが、必ず発する問いがある。「ぶぶ漬けでも…って言われても、食べちゃダメなんだよね?怖いねぇ!」。京都人のイケズさや回りくどさを揶揄する、あの伝説だ。その表現の本質はさておいても、突然の来訪に準備もないが何かおひとつ…の気持ちが京都人に強いことだけは確か。そしてこの「ぶぶうなぎ」に、なんでもないお茶漬けを一躍ご馳走にしてみせる力があるのも確かだ。京都ではさりげなく見栄を満たし、一方茶漬けの慣習が少ない関東では手みやげそのものが会話の賑わいになる。それこそ最高の「ダシ」になるわけだ。
陶芸家と料理人たちの集まり「器覚倶楽部」の頭領でもある、山岡国男さん。セットに入っている橘屋のぶぶあられ、丸久小山園の宇治茶も「元から友達どうしやから」とコラボレートしたもの。交流関係の深さがうかがえる
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