表だけが品物の値打ちではなく
奥に潜みたる姿勢こそ、真価

茂山千三郎さん 贈りものの熟練者と極上品 by 月刊ClubFame 2003年9月号

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茂山狂言会 茂山千三郎さん

茂山千三郎さんとは…】
 人間国宝である四世・茂山千作氏の三男として京都に生まれる。3歳で初舞台を踏んで以来、明快な語り口と柔和な表現力でファンの心を捉えて来た。現在は、一族の若手である正邦氏・茂氏・宗彦氏・逸平氏・童司氏と共に「心・技・体、教育的古典狂言推進準備研修錬磨の会=通称TOPPA!」を主宰。企画・製作から出演までをすべて自分達で行うことで、狂言の魅力を身近に感じてもらいたいと奔走する。また、α-STATION のパーソナリティとしての一面も持つ。
 「お豆腐のようにどんなところでも喜んでもらえる狂言を」という意味を込めて「お豆腐狂言」と銘打ち、その文化を代々伝える狂言師・茂山家。その一員である茂山千三郎氏は、もちろん生粋の京都人である。「仕事柄頂戴することが多いですが、やっぱり好きな物を頂くのは嬉しいものです。その為には僕の好みを知ってくださることが必要で、その相手を思う気持ちこそが『気持ちを伝える』ということなんでしょうね」。楽屋への差し入れなどで日々接する機会の多い「贈りもの」について、そう考える。一方、自分が贈る場合。「その品物をきちんと作っている姿が確認できて、その場に足を運ばなくては手に入れることができない。そんな品であれば、自分の気持ちを託せるし、伝わるのでは…と考えていますね」。

 なるほど「御倉屋」も「三宝庵」も、商う店先から奥の工房を垣間見ることができる、そんな造りだ。加えて家族の手が回る範囲でだけ作り商う、そんな姿勢までもが共通する。「御倉屋さんを知ったのは、もう15年ほど前。頂いたお菓子が美味しかったので訪ねてみたのですが、美味しいのはもちろん店のすぐ奥で作ってはるのがわかるのも安心で」。時に自らのお茶請けに、時に贈りものに、頻度は高いという。「三宝庵さんは、実は甥の正邦から教えてもらったんです」。気持ちを込められる品々を知るべく「楽屋なんかでは、皆で情報交換も。美味しいと聞いたら実際足を運んで…」と、さりげない努力の戦利品だ。「おじゃこの炊いたんとか鯖寿司とか、生そのものではなくて、加工して食べるのが京都の得意技ですよね。この『花山椒』もそんな京都のよさが出た味だと」。その味は、家族総出で作り守られる。
 作り上げる姿勢は隠すことなく、家族ならでは手の温もりが感じられる、菓子と佃煮。それは、一族が団結することで引き継がれ、全員が裏方となって作業も分担するという、茂山家のお豆腐狂言にも通ずるではないか。



最古のものは600年の時を経ているという面。「神鳴(かみなり)」の面は今夏の「TOPPA!」公演で使用されるもの。スケジュールは8月6日〜8日の3日間、1日2回の6回公演。押小路通富小路西入ルの大江能楽堂にて
茂山狂言会事務局 ■075・221・8371 http://www.soja.gr.jp/



千三郎さんおすすめひとつ
三宝庵」の花山椒
http://kyoto-brand.com/read_column.php?cid=5297



千三郎さんおすすめもひとつ
御倉屋」の旅奴
http://kyoto-brand.com/read_column.php?cid=5298


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関連歳時/文化
京のおもたせ
お豆腐狂言
御倉屋
三宝庵
花山椒
旅奴

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関連人物/組織
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