さくら散る

SAKURA 2008 No.4 by 五所光一郎

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「京のの幕は下りる。」と先週書いた。
枝垂から一転して遅咲きの八重を求めた観光客も、仁和寺の御室が生憎の雨に打たれ落ちたため、さぞ残念な思いをしているだろう。

半木の道の紅枝垂も、その紅色が色落ちして弱弱しい姿になっているのを見た。こうなれば、京都府立植物園に行ってもらうしかない。植物園も市内同様にの終焉に向かっているが、幸い八重の数も多い。
更に、「品種見本園」のエリアが、見ていただくに値する種類の数を誇っている。
また、天候の都合で花が落ちていたとしても、場所柄ご覧いただく草花は五万とあるので安心である。
京都府民の憩いの場であることから200円の入場料ではあるが、観光だからと値上げすることはないはずだ。

さて、仕事の所為で見ができなかった京都の方に、近況特別情報をお届けしよう。
小生は残されたを追って、未だに駆け回っている。
但し、普段着のであるから、その好みから誰もが満足できるとは限らないことを前置きしておく。

3日前は、千本閻魔堂の「普賢象」と「関山」の見頃満開を手中に収めた。
紫式部供養塔を取り囲むように咲き誇るような園に息を呑んだ。
やさしく淡い桃色が光を浴びて透き通っている。
通路を挟んで、普賢から伸びだした枝と、絡むように突き出た枝のがある。
花芯の周りが濃い蓮華色になっているので区別がつく。これが「二尊院普賢」である。
どの花も愛おしく見えて仕様がない。どう考えてみても、同地の閻魔大王の顔つきとは似つかわしくない。

しかし、そう言ってしまえば、小生がここへ来て花見をし、「愛おしい」などと言っているほうが滑稽なのだろう。
死者の心をも見抜く閻魔さんは、小生をどう見抜いておられるだろうか興味深々である。
いずれ閻魔さんの裁きが小生にも下りるであろうが、今のうちに、も少し仲良くしておくことを心に決めた。

ここ閻魔堂は、小野篁(おののたかむら)創建、本尊は閻魔王(えんまおう)ど、真言宗高野山派の寺院である。
因みに、普賢象は、二本の緑色の花芯が伸び出ており、それは普賢菩薩が乗っている象の牙の形に似ているところから名付けられたものだ。花芯部に目を凝らしてみると、像の姿が納得できるはずである。執拗に花弁を眺めている小生に、住職は普賢象の花弁は32枚もあることを話してくれた。
2日前には、西陣は上立売通智恵光院西入るの「雨宝院」で午前中を過ごした。
手狭な境内の中に、工事中であるにも関わらずの長居である。
おそらくここが大好きなのだ。
お目当ては勿論「御衣黄」である。これもまた丁度満開で、草色の花弁を楽しませて貰った。この花色はだんだんと色白くなり黄色くなっていくので、今週中に、も一度訪れるつもりである。
境内には、そのほか「歓喜」「観音」が満開散りはじめで、「枝垂」は絨毯を敷き始めていたが、名残を楽しむことができた。

同日午後は南区に向かい、壬生通八条角の「六孫王神社」で数種の八重などをカメラに収めた。
境内のつつじやシャクヤク、本殿前の藤棚には、熊蜂が蜜を求めて飛び交っていた。
「清和源氏の発祥の宮」を冠する神社は、新幹線の高架に北側が接しているのが残念だった。そして、神龍池の古の姿がどんなであっか興味がそそられた。
「関山」に「御衣黄」、「桃」に「普賢象」も満開散りはじめで、時折吹く風に吹雪を見せてくれた。

最後が昨日である。右京区京北の「常照皇寺」へ。今年二度目である。
「九重」と「左近の」は名残とは知りつつ、「御車返しの」と「山門下の紅枝垂」の満開を見届けなくては、今年の見が終えられないからである。
出迎えの高台で、大木が見事な紅色に燃え、その枝垂れを風に棚引かせていた。
遠路出向いた甲斐を感じた。言葉にならない満足感は首を立てに振るだけである。

石段を登り拝観。勅旨門と方丈の縁の間に陣取る「御車返しの」は満開見頃である。
一重と八重の花が、ひとつの枝に共に開いているのを、この目で確認し、帰路に着いた。

京北から花背へ、上黒田は春日神社の樹齢300年を誇る、満開中の「百年」にも顔見世を済ませ、花背から上賀茂へは車中ながら、街道の山や枝垂にも別れを告げつつ、上賀茂から市内に戻った。

今朝、市内のハナミズキの植栽が、赤く白く膨らみ、何輪かが開いているのを見た。

5135-080422-春

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