鍋は鍋でも、大かまどに大鍋をかける「大根焚き(だいこだき」は見逃せない。
「大根焚き」は京の冬を告げる風物詩の筆頭である。
京都では、“大根”を「だいこ」と呼ぶことから、今昔「だいこだき」と呼び習わしている。
鏑形に丸く太った「聖護院大根」を塩煮、塩炊きするのが千本釈迦堂(上京区五辻通千本075-461-5973)である。昨今は京野菜の「聖護院大根」は実りに限りがあり、仕方なく他の大根も使われている。実に残念である。
というのは、千本釈迦堂の「大根焚き」は単なる「大根炊き」ではないからだ。
なぜなら、鎌倉時代、慈禅上人が「聖護院大根」の切り口を鏡に見立て、米で「梵字(ぼんじ)」を書き、釈迦を偲び、成道会法要として厄除けを祈願されたのが起源だからである。
成道会法要とは、釈迦が菩提樹の下で悟りを開いた日の12月8日に執り行われる行事である。
「梵字(ぼんじ)」はサンスクリット語で「阿弥陀如来」の意を表している。
古来より大根はハレの日の食物で、神への供え物とされている。
とりわけ冬の大根はビタミン不足を補う野菜のひとつである。
根には水分ばかりと思いきや、ブドウ糖・果糖・ビタミンCが、葉にはビタミンCビタミンAが豊富に含まれている。それはどの種の大根も同じである。栄養を補い美味しく頂くだけなら、他にいただく場所はいくらでもある。
「梵字(ぼんじ)」をカラメルで書いた「聖護院大根」を五?角に切り、油揚げを入れ、昆布と鰹の出汁で、ゆっくりと煮込んだものが「大根焚き」で振舞われる大根である。
方や、「篠大根」に油揚げを入れて、醤油で味付けされるのが了徳寺(鳴滝本町075-463-0714)の「大根焚き」だ。
別名「鳴滝大根焚寺」と呼ばれている。 勿論、親鸞聖人の木像にお供えされるのは現在も塩煮の大根である。
寺伝によると、建長4年(1252年)親鸞上人は法然上人の遺跡を訪ね、愛宕山・月輪寺を訪れた帰途に、この地で説教をされた。この説法を聞き、感動した里人が大根の塩炊きを親鸞聖人に捧げた。
そのお礼にと、親鸞聖人はススキの穂を束ねて筆にし、「帰命尽十方無碍光如来(きみょうじんじっぽうむげこうにょらい)」と記し、お渡しになられた。この故事に由来し、12月9日10日の両日に報恩講が催され、その精進料理としての「大根焚き」が風物詩として受け継がれているのだ。
了徳寺の畑で採れた細長い「笹大根」に代わり、現在使われている「篠大根」は、亀岡篠町で採れた大根で、篠町の肥沃な推積土の中で、深くしっかりと育った大根である。強い芳香を放つのが特徴で、保津峡の右岸一帯に広がる推積土の地域で採れたものは「まぼろしの篠大根」と称され珍重されている。
他に、12月第1日曜日には、鳴滝松本町の三寳寺で行われ、東山の法住寺や大原の三千院など天台宗では翌年1月2月に行われている。
そもそも、大根は地中海沿岸が原産と言われ、その起源は古代エジプトに遡り、ピラミッドの碑文にも記録が残っていると聞く。
日本では「古事記」や「日本書紀」に記され、根が大きいことから「おおね」とか、根が白く涼しげなことから「すずしろ」と呼ばれており、室町時代に入り「大根」と呼ばれ一般化したようである。
おろしにさしみのつま、酢の物に切干し大根、汁物の具におでん、風呂吹き大根に漬物などと、古くから多彩に利用されてきた大根。日本人にもっとも親しまれてきた野菜のひとつである。
この寒気の中、大鍋からあがる湯気に癒され、庶民信仰の歴史に息づく人懐こさに接し、熱々の「だいこだき」を召し上がれ。
京の師走の名物行事〜成道会と大根焚き〜(千本釈迦堂)
http://www.daihoonji.com/event/
真宗大谷派 法輪山了徳寺 (鳴滝大根焚寺)
http://www.ryoutokuji.or.jp/
すすき塚 (京の伝説散歩路)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~yamy1265/kyoto-54.html
金映山妙護国院三寳寺 / 厄落としの大根焚き
http://www.sanpouji.or.jp/1contents/pw4.html
大原 三千院
http://www.sanzenin.or.jp/
【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
「大根焚き」は京の冬を告げる風物詩の筆頭である。
京都では、“大根”を「だいこ」と呼ぶことから、今昔「だいこだき」と呼び習わしている。
鏑形に丸く太った「聖護院大根」を塩煮、塩炊きするのが千本釈迦堂(上京区五辻通千本075-461-5973)である。昨今は京野菜の「聖護院大根」は実りに限りがあり、仕方なく他の大根も使われている。実に残念である。
というのは、千本釈迦堂の「大根焚き」は単なる「大根炊き」ではないからだ。
なぜなら、鎌倉時代、慈禅上人が「聖護院大根」の切り口を鏡に見立て、米で「梵字(ぼんじ)」を書き、釈迦を偲び、成道会法要として厄除けを祈願されたのが起源だからである。
成道会法要とは、釈迦が菩提樹の下で悟りを開いた日の12月8日に執り行われる行事である。
「梵字(ぼんじ)」はサンスクリット語で「阿弥陀如来」の意を表している。
古来より大根はハレの日の食物で、神への供え物とされている。
とりわけ冬の大根はビタミン不足を補う野菜のひとつである。
根には水分ばかりと思いきや、ブドウ糖・果糖・ビタミンCが、葉にはビタミンCビタミンAが豊富に含まれている。それはどの種の大根も同じである。栄養を補い美味しく頂くだけなら、他にいただく場所はいくらでもある。
「梵字(ぼんじ)」をカラメルで書いた「聖護院大根」を五?角に切り、油揚げを入れ、昆布と鰹の出汁で、ゆっくりと煮込んだものが「大根焚き」で振舞われる大根である。
方や、「篠大根」に油揚げを入れて、醤油で味付けされるのが了徳寺(鳴滝本町075-463-0714)の「大根焚き」だ。
別名「鳴滝大根焚寺」と呼ばれている。 勿論、親鸞聖人の木像にお供えされるのは現在も塩煮の大根である。
寺伝によると、建長4年(1252年)親鸞上人は法然上人の遺跡を訪ね、愛宕山・月輪寺を訪れた帰途に、この地で説教をされた。この説法を聞き、感動した里人が大根の塩炊きを親鸞聖人に捧げた。
そのお礼にと、親鸞聖人はススキの穂を束ねて筆にし、「帰命尽十方無碍光如来(きみょうじんじっぽうむげこうにょらい)」と記し、お渡しになられた。この故事に由来し、12月9日10日の両日に報恩講が催され、その精進料理としての「大根焚き」が風物詩として受け継がれているのだ。
了徳寺の畑で採れた細長い「笹大根」に代わり、現在使われている「篠大根」は、亀岡篠町で採れた大根で、篠町の肥沃な推積土の中で、深くしっかりと育った大根である。強い芳香を放つのが特徴で、保津峡の右岸一帯に広がる推積土の地域で採れたものは「まぼろしの篠大根」と称され珍重されている。
他に、12月第1日曜日には、鳴滝松本町の三寳寺で行われ、東山の法住寺や大原の三千院など天台宗では翌年1月2月に行われている。
そもそも、大根は地中海沿岸が原産と言われ、その起源は古代エジプトに遡り、ピラミッドの碑文にも記録が残っていると聞く。
日本では「古事記」や「日本書紀」に記され、根が大きいことから「おおね」とか、根が白く涼しげなことから「すずしろ」と呼ばれており、室町時代に入り「大根」と呼ばれ一般化したようである。
おろしにさしみのつま、酢の物に切干し大根、汁物の具におでん、風呂吹き大根に漬物などと、古くから多彩に利用されてきた大根。日本人にもっとも親しまれてきた野菜のひとつである。
この寒気の中、大鍋からあがる湯気に癒され、庶民信仰の歴史に息づく人懐こさに接し、熱々の「だいこだき」を召し上がれ。
京の師走の名物行事〜成道会と大根焚き〜(千本釈迦堂)
http://www.daihoonji.com/event/
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http://www.ryoutokuji.or.jp/
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【参照リンクには、現在なくなったものがあるかもしれません。順次訂正してまいりますが、ご容赦ください。】
5022-151203-12月
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