さて、私は伏見街道をさらに南へと歩いた。
すると見えてきたものは酒飲みには否が応でも目に入る「地焼酎」の看板である。日本全国、地酒というのは数々あれど、地焼酎の看板を掲げているところはあまり見かけない。
店構えもレトロである。店先にある樽には「伏水街道」と書いてあった。このお店の矜持のようなものを感じる。かつてはこんな店が至る所にあったのだろう。
酒屋を過ぎれば古道具屋さん。まあ、骨董屋と言わねばならないのだろうか。
こんな所で商売が成り立つのかと思う人もおられようが、だいたい古本屋でもそうなのだが、この手の店は店頭においてある商品というのは言うなれば「ガラクタ」なのである。本当の値打ちものは奥にあって人に見せるものではない。そしておおむねカタログ販売か入札であろう。
もう数年前になるが、東京の古本屋が送ってくれたカタログに載っていた「目玉商品」が芥川龍之介の自筆の創作ノートで、大学ノート1冊に1200万円の値段がついていた。
ひょっとしたらこの古道具屋さんもどこか地方の旧家の蔵から掘り出し物を見つけるべく、日夜東奔西走しておられるのかもしれない。
そんな事を思いながら歩いていると「古材文化の会」という小さな表札を見つけた。
ここはれっきとしたNPO法人で、木を活かした生活・文化の理解と発展に寄与する事を目的とした研究活動、講習会の活動を行っているとのこと。
貴重な木造建築の保存と再生を促進することと、保存がかなわず消失 しようとする古い木造建築部材を資源として再利用していくことを意図して設立された 団体だそうである。
昨今、リサイクルが言われているが、江戸時代の日本はリサイクル社会であった。たとえば建物の「破却」にしても、潰して廃棄処分にしたのではなく、活用できるものは移築したりして再利用していたのである。幕末の西本願寺にあって新撰組の屯所にもなった北集会所が今では姫路のお寺の本堂になっているように。
コンクリートは100年とか150年で駄目になるが、木造の建物は1000年でも持つ。屋根瓦の葺き替えは100年に1回、建物の全面解体修理は400年に1回、だいたいこれぐらいを目安にすれば良いらしい。
木材は生きているのだ。
さらに歩くと「田原天守彫刻所」というのもある。
木製品、革製品、お菓子やどら焼き、その他の食品などに、オリジナルデザインの焼印のオーダー製作をしているらしい。
確かに、ありますよね、お饅頭の上に焼印の押してあるやつ。ここで作っていたのか。
前に商品のディスプレイがあって、小物を売っている。
お菓子屋さんに聞くと、今は落雁の木型を彫る職人さんも非常に少ないという。
伝統を守るためには絶対必要で、絶対必要だけれどもそうドンドン売れるものでもないという商品である。
木型にしろ焼印にしろ、我々は何の気なしに見過ごしてしまうかもしれないが、熟練した職人の技を後代に伝えていかねばならない。
そういえば、かつての大仏餅にも焼印があったのだろうか。
歩を進めると今度は一転、真新しい店が目に飛び込んでくる。
まいこhanバーガー。
舞妓はんバーガー!
なんじゃこりゃ? とよく見てみれば、京都牛A4ランク100%の上質肉を使った京風のプレミアムハンバーガーなのだそうである。
値段は高い。一番安いので780円である。流石は上質肉100%使用だ。
一番高いのは1個1340円のダブルチーズ。
肉汁たっぷりフワフワ食感のパティにアボガトと柴漬けタルタルをはさんだアボガトバーガーが950円。どの商品にも九条葱とレタスが一緒に挟まれている。
100円マックのある時代に1個1000円前後のハンバーガーを買う人というのは、もしかして、セレブ?
写真で見る限り、大きさは普通のハンバーガーと変わらないようである。まあ、中身は多いけど。
アボガドバーガーというのには興味をそそられたが、大して腹は減ってないのに好奇心を満足させるためだけに950円を払うかどうか、ここが思案のしどころだったのだが。。。
少しは迷ったが、私はセレブではないので今回しパスいた。
グルメライターよろしくここで舞妓はんバーガーのお味のレポートを期待した人には申し訳ないが、私はそれを食べることなく、さらに足を南へと向けたのである。
(来週に続く)
すると見えてきたものは酒飲みには否が応でも目に入る「地焼酎」の看板である。日本全国、地酒というのは数々あれど、地焼酎の看板を掲げているところはあまり見かけない。
店構えもレトロである。店先にある樽には「伏水街道」と書いてあった。このお店の矜持のようなものを感じる。かつてはこんな店が至る所にあったのだろう。
酒屋を過ぎれば古道具屋さん。まあ、骨董屋と言わねばならないのだろうか。
こんな所で商売が成り立つのかと思う人もおられようが、だいたい古本屋でもそうなのだが、この手の店は店頭においてある商品というのは言うなれば「ガラクタ」なのである。本当の値打ちものは奥にあって人に見せるものではない。そしておおむねカタログ販売か入札であろう。
もう数年前になるが、東京の古本屋が送ってくれたカタログに載っていた「目玉商品」が芥川龍之介の自筆の創作ノートで、大学ノート1冊に1200万円の値段がついていた。
ひょっとしたらこの古道具屋さんもどこか地方の旧家の蔵から掘り出し物を見つけるべく、日夜東奔西走しておられるのかもしれない。
そんな事を思いながら歩いていると「古材文化の会」という小さな表札を見つけた。
ここはれっきとしたNPO法人で、木を活かした生活・文化の理解と発展に寄与する事を目的とした研究活動、講習会の活動を行っているとのこと。
貴重な木造建築の保存と再生を促進することと、保存がかなわず消失 しようとする古い木造建築部材を資源として再利用していくことを意図して設立された 団体だそうである。
昨今、リサイクルが言われているが、江戸時代の日本はリサイクル社会であった。たとえば建物の「破却」にしても、潰して廃棄処分にしたのではなく、活用できるものは移築したりして再利用していたのである。幕末の西本願寺にあって新撰組の屯所にもなった北集会所が今では姫路のお寺の本堂になっているように。
コンクリートは100年とか150年で駄目になるが、木造の建物は1000年でも持つ。屋根瓦の葺き替えは100年に1回、建物の全面解体修理は400年に1回、だいたいこれぐらいを目安にすれば良いらしい。
木材は生きているのだ。
さらに歩くと「田原天守彫刻所」というのもある。
木製品、革製品、お菓子やどら焼き、その他の食品などに、オリジナルデザインの焼印のオーダー製作をしているらしい。
確かに、ありますよね、お饅頭の上に焼印の押してあるやつ。ここで作っていたのか。
前に商品のディスプレイがあって、小物を売っている。
お菓子屋さんに聞くと、今は落雁の木型を彫る職人さんも非常に少ないという。
伝統を守るためには絶対必要で、絶対必要だけれどもそうドンドン売れるものでもないという商品である。
木型にしろ焼印にしろ、我々は何の気なしに見過ごしてしまうかもしれないが、熟練した職人の技を後代に伝えていかねばならない。
そういえば、かつての大仏餅にも焼印があったのだろうか。
歩を進めると今度は一転、真新しい店が目に飛び込んでくる。
まいこhanバーガー。
舞妓はんバーガー!
なんじゃこりゃ? とよく見てみれば、京都牛A4ランク100%の上質肉を使った京風のプレミアムハンバーガーなのだそうである。
値段は高い。一番安いので780円である。流石は上質肉100%使用だ。
一番高いのは1個1340円のダブルチーズ。
肉汁たっぷりフワフワ食感のパティにアボガトと柴漬けタルタルをはさんだアボガトバーガーが950円。どの商品にも九条葱とレタスが一緒に挟まれている。
100円マックのある時代に1個1000円前後のハンバーガーを買う人というのは、もしかして、セレブ?
写真で見る限り、大きさは普通のハンバーガーと変わらないようである。まあ、中身は多いけど。
アボガドバーガーというのには興味をそそられたが、大して腹は減ってないのに好奇心を満足させるためだけに950円を払うかどうか、ここが思案のしどころだったのだが。。。
少しは迷ったが、私はセレブではないので今回しパスいた。
グルメライターよろしくここで舞妓はんバーガーのお味のレポートを期待した人には申し訳ないが、私はそれを食べることなく、さらに足を南へと向けたのである。
(来週に続く)
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