街角アートを眺めてみれば
  〜京都の見所は神社仏閣だけではなかった〜

【言っておきたい古都がある・29】 by 谷口 年史

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 京都といえば「古い都」であるが、「古い奴ほど新しいものを欲しがる」という昔の流行歌があった。
 今日はその「現代アート」とそれに匹敵する「見所」を紹介したい。

 まず、京都駅から烏丸通を眺めてみれば、道路が一直線に通っていて、なるほど京都というのは碁盤目状に町が区切られているのだとよくわかる。
 その京都駅のビルにあるオブジェ。
 私にはタツノオトシゴがキスをしているように見えるのである。

 京都に住んでいて京阪沿線に家があると、これほど便利な事はないが、京阪三条駅のブックオフへ上っていくエスカレーターのそばには鴨川の流れを表現したオブジェがある。
 現代アートというのは「作った本人にしか意味が分らない」というものがほとんどのようだが、これは実によく分るのが嬉しい。

 京阪三条にある有名な高山彦九郎像。今では「土下座像」としてすっかり有名になってしまい、人気の待ち合わせスポットでもある。
 ところで彦九郎さんは御所に向かって天皇陛下に挨拶されているのである。全国を廻って徳川幕府よりも天皇陛下のほうが上だと説いて廻った人である。今風に言えば「日本全国を旅して街頭宣伝活動をしていた右翼のおじさん」ということか。

 さて、京都といえば町家だが、よく見れば町家をデザインした駐車場の入り口である。このほかにも三条通というのは面白い建築物が多い。

 同じ京阪沿線では四条駅から歩いていける八坂神社の前にあるコンビニのローソンは「和風」である。
 このデザインに代わった時、京都市の景観配慮デザインの優秀賞を取ったのではなかったかな。

 四条大橋の近くには出雲阿国像がある。彦九郎さんにくらべればまだまだマイナーな像のようで、数年前、ツアーの集合場所をここにしたら「迷った」というお客さんが結構おられた。
 中でも凄かったのは、橋の反対側にある交番で尋ねたらお巡りさんがこの阿国像のことを知らなかったと。
 凄い話ではある。

 阿国像の近くにあるのがまたもや不可解な現代アート。
 私は最初、ナスビかなと思ってしまった。見方によっては「ふぐり」にも見えるが。。。

  一転、河原町通り六条下がったところにある神社。
 お分かりだろうか。門の上がマンションになっているのである。
 「この罰当たり!」と思われる方もおられようが、これは賃貸マンションでこの神社にとっては重要な収入源なのである。
 神社だって生き残っていかなければならない。
 駐車場に出来るような境内もないため、目を上に転じたということだろう。
 べつに本殿の上をマンションにしているわけではないので神様も許してくださるだろう。
 ちなみに、東京には教会の上がマンションになっているのがあるという。

 次はご存知の方も多いだろうと思う。西本願寺の前にある龍谷ミュージアムである。
 京都の町家にかかる簾をイメージした造形である。伝統を取り入れようと努力しているのだ。

 私の地元である伏見からもひとつ取り上げよう。
 伏見といえば酒蔵だが、その酒蔵を模したこれは公衆トイレである。このセンス、抜群というべきか笑うべきか。
 坂本龍馬ゆかりの寺田屋の近くにある公園にこの「酒蔵トイレ」はある。近くにおいでの際は、よろしければご利用ください。

 最後に、これはもう日本の建築技術は凄いと思わざるを得ないマンション。
 まるで軍艦のようで、三角形の土地に委細かまわず、そのまま建てている。
 こうなると何でもありだな。

 ということで、何時の間にやらこの連載も半年以上続いている。
 来年に向けてネタを探さなければならないのだが、新年もまた読んでいただければ幸いである。

 それでは読者の皆さん、良いお年をお迎えください。

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